角野栄子あたらしい童話大賞 創設

【2025-013】

2024年11月26日(火)、国際アンデルセン賞受賞作家の角野栄子氏が館長を務める魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)で、角野栄子あたらしい童話大賞の第1回受賞者の発表が行われた。ポプラ社が主催し、角野栄子児童文学財団が共催する同賞は、一人読みを始めた子どもたちにとびきり楽しい童話を届けたいという角野氏の信念のもと、これまでの童話のイメージにとらわれない自由な表現で書かれた作品との出会いを願い、今年創設された。角野氏が審査委員長、児童書作家の原ゆたか氏が特別審査員を務め、一人で本を読み始める年齢の子どもに向けた幼年童話のうち、商業出版されていない作品を対象とする。

7~88歳の書き手による2289作品が集まり、1次選考と2次選考を通過した12作品による最終選考会が行われた。

大賞に選ばれた迂回ひなた氏の『びょうき銀行にあずけちゃえ』は、熱が出て学校を休まなければいけなくなった主人公が、病気を預けたり引き出したりできる銀行を見つける物語である。著者の将来性を鑑みながら選考された大賞と優秀賞(各1作品)、奨励賞(2作品)の受賞作は今後、書籍化を目指す。

角野氏は贈呈式で、「子どもの頃に面白い本に出会ったら、本好きの大人に育っていくのだから、幼年童話はもっとも継承しなければならない文学」「幼年童話を対象にした賞がどんどん消え、書く人がとても少なくなった。字を読み始めたばかりの子どもたちに向けた作品を大事にしなければ、日本の出版文化の将来にも関わると考え、この賞を設けた」と語った。

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(2025.02.09 update)