児童文学連続講座

全国の各種図書館等で児童サービスに従事する図書館員等の幅広い知識のかん養に資することを目的として、平成16年度から児童文学連続講座を開催しています。

令和5年度児童文学連続講座のご案内

令和5年度児童文学連続講座は終了しました。

総合テーマ「幼年童話の可能性―聞いて、読んで、物語の世界へ―」

子どもの読むものは成長につれて、絵が中心の絵本から、文章が中心の童話や小説へと、少しずつ変化していきます。幼年童話はそのあいだにあって、絵本から児童文学への橋渡しをするものと位置づけられます。大人の音読を聞いて楽しむことも、子どもが自分で黙読して楽しむこともできるものです。

一方で、図書館や学校で児童書にたずさわる方からはよく「子どもたちは、絵本は喜んで読む(見る/聞く)けれど、なかなかその先の読書につながらない…」といったお悩みをお聞きします。今年度はこの課題に注目し、「幼年童話の可能性―聞いて、読んで、物語の世界へ―」をテーマとして、小学校低学年前後の子どもたちのための文学について考えたいと思います。

まず総論として、そもそも幼年童話とはどのようなジャンルか概観します。各論では、幼年童話の対象とされる年齢の子どもの保育学・教育学的な特徴を考えます。さらに幼年童話でのジェンダーの描かれ方、そして、子どもたちに親しまれているシリーズ作品の特徴を取りあげるほか、国際子ども図書館の児童サービスについてもご紹介します。また、今回は、参加者のみなさんにオンラインでグループディスカッションをしていただくという科目も設けました。

この講座をとおして、子どもたちと絵本の先にある読書の世界へ入っていくには何が必要なのか、みなさんと考えていきたいと思っています。

監修 藤本 恵(武蔵野大学文学部教授、国立国会図書館客員調査員)

開催概要

総合テーマ 「幼年童話の可能性―聞いて、読んで、物語の世界へ―」
形式 オンライン同時配信形式(Microsoft Teamsを使用)
録画配信形式(YouTubeを使用)
日程 同時配信(当日開催):令和5年10月16日(月)、17日(火)
録画配信:令和5年11月21日(火)~令和6年3月31日(日)(オンラインディスカッションの科目を除く)
参加費 無料

講義内容

令和5年10月16日(月)10時~11時30分
「幼年童話概論」

講師:佐々木 由美子(東京未来大学教授)

幼年童話とは何でしょうか。幼い子どもを読者対象とした幼年童話は、児童文学のなかでも最も児童文学らしく、それゆえの制限や難しさを併せ持っています。本講義では幼年童話の成り立ちや変遷、特徴や魅力などを明らかにしていきたいと思います。あわせて幼い子どもにとっての文学とは何かについても考えてみましょう。

令和5年10月16日(月)13時~14時30分
「幼年童話にみるジェンダー―育児の描かれ方を中心に―」

講師:宮下 美砂子(小田原短期大学特任准教授)

人生の最初期に受容する幼年童話は、子どもたちの価値観や人格の形成に大きな影響を与えると考えられます。本講義では、特にジェンダーの視点から幼年童話を見直すことで、物語を通していかなるジェンダー観が子どもたちに伝えられているのかを検討し、子どもたちが自らの、そして他者の生と性を肯定して生きることを後押しするような幼年童話のあり方を考えます。

令和5年10月16日(月)15時~16時30分
「グループディスカッション―幼年童話と子どもの読書」

モデレーター:藤本 恵(武蔵野大学教授、国立国会図書館客員調査員)

ふだんから本や子どもと関わっているみなさんと、幼年童話や読書活動について語りあってみませんか。オンラインだからこそ、遠く離れた地域の方とも気軽につながることができます。
※この科目では、少人数のグループに分かれてディスカッションを行います。ディスカッション中はマイクとカメラをオンにしていただきます。
また、当日は、以下のワークシートへの書き込みが可能な端末でご参加ください。

令和5年10月17日(火)10時~11時30分
「子どもの人間形成と幼年童話」

講師:米川 泉子(金沢学院大学准教授)

近代の幼児教育思想の特徴のひとつは、教育を職業訓練から解放し「遊び」を通した総合的な人間形成のいとなみとして理解したことにあります。物語の世界で子どもが遊ぶとき、ただの識字教育や読書教育にはきりつめられない人間形成上の意義が認められるとすれば、それはいったい何でしょうか。本講義では幼年童話を中心に教育哲学研究の観点からこの問いを考えていきたいと思います。

令和5年10月17日(火)13時~14時30分
「幼年童話人気シリーズに学ぶ 子どもの心のとらえ方、ひろげ方」

講師:藤本 恵(武蔵野大学教授、国立国会図書館客員調査員)

幼年童話には、30年以上にわたって読まれるシリーズ作品がいくつかあります。ただ、大人には魅力がじゅうぶんに伝わらないのでしょうか、評論や研究で取りあげられることは少ないのです。この講義では、幼年童話のシリーズ作品を紹介しながら、子どもたちの心をとらえる秘密を探り、子どもの読書のひろげ方について考えます。

令和5年10月17日(火)15時~15時40分
「国際子ども図書館の小学生向けサービス」

講師:国立国会図書館国際子ども図書館職員

国際子ども図書館では、子どもたちに読書の楽しさを伝え、図書館や本の世界に親しむきっかけを提供することを目的として、年齢に応じたさまざまな読書支援サービスを行っています。今年度は、小学生向けのサービスについて、子どもと本を結びつける役割を担う学校や学校図書館への支援活動も含めて紹介します。

各回の概要と講義録

過去の児童文学連続講座の講義録は、印刷版として刊行するとともに、国際子ども図書館ホームページにもPDFファイルで掲載していますので、ご利用ください。

過去の児童文学連続講座の概要と講義録は以下のページからご覧いただけます。

お問い合わせ先

国立国会図書館国際子ども図書館 企画協力課協力係
メールアドレス:kenshuアットマークケーオーディーオーエムオーピリオドジーオーピリオドジェーピー
電話:03-3827-2053(開館日の9時30分~17時)

PDF形式のファイル閲覧にはAdobe Readerが必要です。

>> Adobe Readerのダウンロード(別ウインドウで開きます。)