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国際子ども図書館主催の展示会のお知らせです。

国際子ども図書館開館記念国際シンポジウム 抄録

宋 永淑

宋 永淑

韓国の読書事情について説明するために、私の読書体験を話したいと思います。私が小学校に入学したのは1954年で、読んだ本というのは、家庭に本があまりなかったため、教科書だけでした。58年頃には町の貸し本屋でよく本を借りるようになりましたが、図書館に出会ったのは中学生になってからでした。学校図書館で私はさまざまな本を読むようになったのです。私の学校はソウルの中心部にありましたが、その頃の周辺の本屋には子どもの本は置いていなかったように記憶しています。最近はソウル市内に大型書店ができ、90年代の初めにはチョパンといった児童書専門の書店が多く生まれました。

私は1987年ごろから積極的に子どもの本に深く関わるようになりました。この頃でも韓国では子供向けの作品は国内海外のものも含めてまだまだ少なく、絵本らしい絵本が出版され始めたのは1992年に入ってからでした。90年代後半には児童書専門の出版社もできて、外国作品の翻訳本や国内の作家のオリジナルな絵本が出版されるようになりました。その後、児童書の出版は活発化し、特に絵本の出版は流行となりました。

一方、図書館の事情についてですが、当初ソウルは人口が一千万を超える大都市でありながら、公共図書館は分館を含め2館しかありませんでした。70年代に入って4館、(うち私が79年まで働いていた正読図書館は77年開館)、80年代にはいって10館、90年代に5館と1分館が作られました。現在ソウルには国立中央図書館と分館、国会図書館、市立公共図書館の21館があります。

子供向けサービスは80年代になってやっと閲覧室を各図書館が置き始めるようになりました。89年には就学前児童も受け入れるようになり、79年5月にはソウル市立子ども図書館もできました。一方で、以前は子供向けサービスをしていた国立中央図書館の分館は学位論文館となって、今現在も国立では子どもサービスをしていないのです。韓国ではまだまだ、本や読書のことを話題にするとき、図書館のことではなく、本屋のことを考える人が多い状況です。特に地方では図書館に読書についてのサービスプログラムがろくに設けられていない状況なのです。お話の時間でさえ定期的に設けられている所は少ないのです。しかし、読書についてのプログラムが韓国に一つあります。それは夏休み冬休みを利用した「読書教室」です。

これからの子どもをどのように育てればいいのかを考える時、読書教育の観点から考える基本的な留意点を押さえておきたいと思います。まず、識字教育と読書教育は別だということです。文字の読み書きができるからといって本に書かれていることが十分に理解できる力があるかどうかは別の問題なのです。読書にとって大切なのは読み書きよりも聞く力、話す力であり、文字よりも言葉に対する感覚を磨くべきなのです。そのためにさまざまな話を聞かせる機会を増やし、想像力を豊かにすることで培われていく言葉が何を意味するのかと想像することができるように育てていくことができるのです。たくさんの読書経験によって読書や本の世界に浸りやすくし、文字を習う前にいろいろなことを見て感じることができる経験をすること、そしてお話を通じて想像力や語彙力を育てることが読書教育の基本だと思います。また、教育という名のもとに枠をつくって子どもたちを閉じ込めてはなりません。子どものやわらかな発想が継続していけるように読書を導いていかねばなりません。私はこのような考えのもとに、理想的な子ども図書館を作りたいと思っています。そのような図書館を中心に子どもによい読書環境を与え、読書推進のための望ましいプログラムを開発したいと考えています。また外国との交流を通じて子どもの本、読書、図書館についての広いアイデアを分かち合って行けたらと思っています。