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2017年リンドグレーン記念文学賞受賞者決定

【2017-036】

2017年4月4日、スウェーデン・アーツ・カウンシル(Swedish Arts Council)は、第15回リンドグレーン記念文学賞(The Astrid Lindgren Memorial Award)の受賞者が、ドイツの絵本作家ヴォルフ・エァルブルッフ(Wolf Erlbruch)に決定したと発表した。

授賞理由として、「エァルブルッフの作品は、だれもが理解できるかたちで人間の実存について問い、ヒューマニズムに深く根差した温かさとユーモアがある。豊かな想像力で、細かな部分にまで心をくだいて作品を生み出し、伝統を受け継ぎつつ新たな扉を開く画家である。」と評価された。

「子どもの本において一番大切なのは、自ら感じたことに正直であることと、自分自身について語ることである。」とエァルブルッフは語っており、読者と共に大きな問題を考え、親子の対話を促すような作品を手がけている。白や淡い色を背景に、登場人物の動きに焦点を当てたコラージュは舞台を思わせ、いくつかの作品は実際に劇化されている。“Ente,Tod und Tulpe”(邦訳『死神さんとアヒルさん』)は、暗く描かれがちな死のテーマに光を当て、“L’ogresse en pleurs”(ヴァレリー・デール(Valérie Dayre)文)には、親子関係における依存、愛と自由、喪失の恐れが寓話的に描かれている。“Die fürchterlichen fünf”(邦訳『すてきなよるに』)には、映画『七人の侍』や日本の木版画の影響が感じられる。

エァルブルッフは1948年にドイツのヴッパータールで生まれた。グラフィックデザインを学んだ後、出版社に見いだされて絵本を制作するようになり、“Vom kleinen Maulwurf, der wissen wollte,wer ihm auf den Kopf gemacht hat” (邦訳『うんちしたのはだれよ!』)(ヴェルナー・ホルツヴァルト(Werner Holzwarth)文)で大成功を収めた。“Das Bärenwunder”(邦訳『クマがふしぎにおもってたこと』)で1993年にドイツ児童文学賞絵本部門、“La Grande Question”(邦訳『おおきなはてな』)で2004年にボローニャ・ラガッツィ賞フィクションの部を受賞した。またこれまでの全業績に対して、2003年にドイツ児童文学賞、2006年に国際アンデルセン賞を受賞した。2003年にはグラフィックアートでの業績が認められ、ライプツィヒのグーテンベルク賞を受賞した。

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(2017.05.22 update)