子どもと本の情報・調査

IFLA第83回年次大会報告―児童・ヤングアダルト図書館分科会を中心に

【2017-086】

2017年8月20日から24日まで、ポーランド、ヴロツワフで開催された、第83回国際図書館連盟(IFLA:International Federation of Library Associations and Institutions)年次大会のうち、8月21日に行われた児童・ヤングアダルト図書館分科会のセッションの概略を中心に報告する。

セッションでは、「ガイドライン改訂及びベスト・プラクティス」をテーマとして3件の報告が行われた。内容は次のとおりである。
(1) テーマ:「ガイドライン改訂及びベスト・プラクティス」
(2) 報 告:①改訂「児童図書館サービスのためのガイドライン」
       Carolynn Rankin氏(リーズ-バケット大学、イギリス)
      ②児童・ヤングアダルト図書館業務のためのベスト・プラクティス
       Ulla Pötsönen氏(ヨエンスー市立図書館、フィンランド)
      ③日本のベスト・プラクティス:学校訪問―子どもに本を届け、図書館へ呼び込む
      護得久えみ子氏(東京子ども図書館・日本図書館協会児童青少年委員会、本)
初めに、児童・ヤングアダルト図書館分科会が取り組む「児童図書館サービスのためのガイドライン」の改訂について、Rankin氏が報告した。今回の改訂では、大きくまとめれば次の3点が主な方針となっている。
①サービス対象を0歳から18歳までに設定する。
②①に伴い、過去に公開されている「ヤングアダルトへの図書館サービスガイドライン」、「乳幼児への図書館サービスガイドライン」も統合した内容とする。
③ガイドラインに掲載するベスト・プラクティスは、ウェブ上で公表することとし、後述するベスト・プラクティスの動画と連携させる。
同ガイドラインは、9月から10月にかけて意見募集を行い、12月には公表される予定とのことである。

次に、同分科会が推進するベスト・プラクティスのプロジェクトについて、常任委員の Pötsönen氏から報告があった。このプロジェクトは、各国図書館がそれぞれ児童・ヤングアダルト向けに行っているベスト・プラクティスを紹介する動画をYouTubeに投稿し、IFLAのプレイリスト上で共有し、レシピのように応用可能な具体的方法として、参照できるようにすることが目的である。9月10日現在、24件の動画が投稿されているが、さらに多くの事例を収集したいと述べた。

最後に、ベスト・プラクティスの事例として、日本の護得久氏から、東日本大震災で被災した地域や、ブラジルからの移民の多い地域の学校を含め、氏の所属する東京子ども図書館の学校訪問の実践事例について紹介された。
本セッションには250名が参加したとのことであった。

8月22日には、リテラシー・読書分科会、公共図書館分科会、学校図書館分科会との合同セッションが行われ、リテラシーをテーマとし、病院内での本の読み聞かせや、ゲーム作成ワークショップ、自閉症に優しい図書館づくりの取組など10件の報告が行われた。
その他、大会期間中に行われた2回の同分科会常任委員会では、上述のガイドラインやベスト・プラクティスのほか、継続中の「絵本で世界を知ろう」プロジェクト、「姉妹図書館」プロジェクトの今後の運営方針や、2018年8月に行われるマレーシア大会のサテライト・ミーティングをシンガポールで開催する予定等について話し合われた。

Ref:

  • The International Federation of Library Associations and Institutions (IFLA) : IFLAホームページ
    https://www.ifla.org/
(2017.09.26 update)