ヨハンナ・シュピリ文書館がユネスコの記憶遺産に

【2024-031】

2023年5月17日(水)、チューリッヒ大学は、スイスのヨハンナ・シュピリ文書館とハイジ資料館の所蔵する資料が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録されたことを発表した。スイスの作家であるシュピリは、児童文学を中心に50作ほどの小説を残し、『ハイジ』が代表作として知られている。

1968年、チューリッヒのスイス児童文学研究所(現スイス児童メディア研究所)(Schweizerisches Institut für Kinder- und Jugendmedien : SIKJM)内に設立されたヨハンナ・シュピリ文書館は、原書や各国語版、遺品、写真、手稿、新聞記事や映像などを所蔵している。ハイジ資料館はチューリッヒに拠点を置き、シュピリの手紙類や『ハイジ』の各国語版、挿絵の原画などを世界中から収集している。

『ハイジ』は、第一部『ハイジの修業時代と遍歴時代』(1880年)と第二部『ハイジは習ったことを役立てる』(1881年)から成る物語である。ユネスコのウェブサイトでは、多くの翻訳・翻案があり、世界中で広く読まれていること、その影響は児童文学や文化やメディアにとどまらず、登山や文学ツーリズムを通して、日常の文化の重要な要素になっていること、歴史の中でハイジが持つ意味は変わっていき、ロマン主義の理想的な子ども像として読める一方、より現代的な見方では都会と田舎、人間と人間でないものの仲介者としても読めることなどが言及されている。

文学に関係する「世界の記憶」には、ほかに『ドン・キホーテ』や『グリム童話』などがある。

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(2024.04.24 update)

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