研修・交流

児童文学連続講座 平成26年度

総合テーマ
「児童文学とそのマルチメディア化」

近年、児童文学が原作の映画やアニメが多く制作され、人気を集めています。そのため、おとなも子どもも、映像化されたものから最初に作品に触れ、そのままその作品を知っているような錯覚に陥っていることが多いようです。もっともこれは、今に始まったことではなく、「クマのプーさん」や「不思議の国のアリス」が、ディズニーのオリジナルだと信じている人も少なくはありません。そのうえ、世の中はますます視覚化の一途をたどり、映像なしにことばから想像の世界に入れない子どもたちも増えてきています。

こんな時代に、活字による物語は、こうしたマルチメディア化とどうやってよりよい関係を取り結んでいけるでしょうか。ただ原作至上主義を唱えるのではなく、マルチメディア化との共存の方法を探り、それぞれの良さを生かして作品のより深い理解へたどり着くために、いくつかの児童文学を例に、活字とその他のメディアでの展開の可能性を探っていきます。

監修 川端 有子(日本女子大学家政学部児童学科教授、国立国会図書館客員調査員)

川端 有子(かわばた ありこ)

関西学院大学大学院博士課程満期退学、英国ローハンプトン大学にてPhD(児童文学)を取得。愛知県立大学外国語学部を経て、現在は日本女子大学家政学部児童学科教授。日本イギリス児童文学会会長、国立国会図書館客員調査員(平成24年度~)。

  • 著書 『児童文学の教科書』『少女小説から世界が見える : ペリーヌはなぜ英語が話せたか』
  • 編著書 『「もの」から読み解く世界児童文学事典』(共編著)、『「場所」から読み解く世界児童文学事典』(共編著)、『赤毛のアン スクラップブック』(編著・訳)
  • 訳書 『本を読む少女たち : ジョー、アン、メアリーの世界』、『絵本の力学』(共訳)、『絵本の絵を読む』(共訳)

講座概要

総合テーマ 「児童文学とそのマルチメディア化」
監修 川端 有子(日本女子大学家政学部児童学科教授)
開催時期 平成26年11月10日(月)、11日(火)
会場 国際子ども図書館 3階 ホール
対象 現在、図書館などにおいて児童サービスに従事する方。
1機関1名。定員60名。2日間連続して受講できる方を優先します。
備考 連続講座の全課程を修了した方に対し、国際子ども図書館長名の修了証書を授与します。

時間割

※講義内容の詳細については、講義内容の項目をご覧ください。

1日目 11月10日(月)

時間 内容
9時30分~10時10分 館内見学 (希望者のみ)
10時10分~10時15分 開講挨拶・諸注意
10時15分~10時30分 はじめに
10時30分~12時10分 『フランダースの犬』の映画化、アニメ化、紙芝居化とベルギー
12時10分~13時10分 休憩
13時10分~14時50分 ジブリ版『借りぐらしのアリエッティ』は何語を話すのか?―日本化した『床下の小人たち』
14時50分~15時 休憩
15時~16時40分 『若草物語』の三つの映画化―あなたはどのジョーが一番好きですか?
16時40分~17時 グループ討議オリエンテーション

2日目 11月11日(火)

時間 内容
10時~11時40分 『秘密の花園』と三つの映画化
11時40分~12時50分 休憩
12時50分~13時30分 資料紹介
13時30分~13時45分 講義のまとめ
13時45分~13時55分 休憩
13時55分~14時55分 グループ討議
14時55分~15時05分 休憩
15時05分~15時55分 グループ討議(発表・講評)
15時55分~16時 修了証書授与

講義内容

1日目 11月10日(月)

はじめに
川端 有子(日本女子大学家政学部児童学科教授、国立国会図書館客員調査員)
『フランダースの犬』の映画化、アニメ化、紙芝居化とベルギー
野坂 悦子(翻訳家、作家、早稲田大学非常勤講師)
イギリスの作家ウィーダが書いた本作品は、日本では明治時代より愛されてきました。いっぽうアメリカでは何回も映画化されながら、主人公の死による結末はかならず書き換えられています。舞台となったベルギーではどう受容されているのでしょう?国によって、メディアによって、物語が異なってくる理由を探ります。
ジブリ版『借りぐらしのアリエッティ』は何語を話すのか?―日本化した『床下の小人たち』
田中 美保子(東京女子大学現代教養学部人間科学科言語科学専攻准教授)
アニメーション映画『借りぐらしのアリエッティ』(スタジオジブリ、2010年)は、「小人」「借りぐらし」等の用語・アリエッティら主要登場者名・主な筋書き等は原作『床下の小人たち』を踏襲しながら、決定的な点で原作と異なります。ジブリの「借りぐらし」の小人は、何語を話すのでしょう?
『若草物語』の三つの映画化―あなたはどのジョーが一番好きですか?
横川 寿美子(帝塚山学院大学教授)
これまでに何度も映画化された『若草物語』。その中でも有名な三編を見ていると、同じ原作の同じ部分を映像化していても、全く違う印象を受ける場面が多々あることに気づきます。それらを比較しながら、原作が書かれた19世紀とそれぞれの映画が制作された時代の、家庭像や女性像について考えます。

2日目 11月11日(火)

『秘密の花園』と三つの映画化
川端 有子(日本女子大学家政学部児童学科教授)
F. H. バーネットの『秘密の花園』は、今まで主に3回映画化されています。それぞれのバージョンを比較することにより、何が強調され、何が変更されているかを示し、翻って原作の読みを深めていきたいと思います。
資料紹介
国際子ども図書館職員

講義録

  • 印刷版

本講義録「児童文学とそのマルチメディア化」の印刷版は、公益社団法人日本図書館協会から発売されています。印刷版の入手に関するお問い合わせは下記までお願いします。

公益社団法人日本図書館協会
〒104-0033 中央区新川1-11-14
電話:03-3523-0812(販売直通)

お問い合わせ先

国立国会図書館国際子ども図書館 企画協力課協力係
電話:03-3827-2053 FAX:03-3827-2043
〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49

PDF形式のファイル閲覧にはAdobe Readerが必要です。

Adobe Readerのダウンロード>> Adobe Readerのダウンロード(別ウインドウで開きます。)