国際子ども図書館の歴史
※キャプションの「旧」は帝国図書館建築時、「現」はコンテンツ作成時(2020年12月)の名称です。
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支部上野図書館から国際子ども図書館へ
国立国会図書館支部上野図書館の施設として利用されてきた建物は、将来東京都に移管することが法律で決められていました。
しかし、東京都における公共図書館整備の進展等の理由により、都に移管しないことについて都との了解が成立し、1994(平成6)年に法律が改正されて、国立国会図書館の施設として永く活用できることとなりました。
また、この時期は、子どもの読書推進、国立の児童図書館設置への機運が高まってきた時期でもありました。
児童書・児童図書館関係者、国会議員などからの様々な意見を聴取し、検討を経て、支部上野図書館の建物は児童書の図書館として活用されることとなり、国内外の児童書と関連資料を広範囲に収集・保存し、子どもへのサービスの第一線にある図書館活動および調査・研究活動を支援するとともに、子どもたちの国際理解の促進に資するという国際子ども図書館の設立計画がまとめられました。
1999(平成11)年の国立国会図書館法の改正を経て、国際子ども図書館は2000(平成12)年に部分開館、2002(平成14)年に全面開館しました。
建物の保存と利用
明治期の貴重な洋風建築であるレンガ棟は、1996(平成8)年に意匠調査が行われ、安全性と防災に関して1993(平成5)年に構造調査が実施されました。
これらの調査に基づいて、免震工法により既存の建物を保存するとともに、ガラス棟を増設し、明治・昭和・平成の建物を一体化するという建築家安藤忠雄氏の基本設計が定められました。
1999(平成11)年に東京都の歴史的建造物に選定されています。
アーチ棟建設
国際子ども図書館は、旧帝国図書館の建物を改修し、サービスを提供してきました。
しかし、納本制度等に基づき収集される国内刊行の児童書と、「国際」を冠する図書館として収集した海外の児童書を収蔵するためには、書庫スペースの不足が大きな課題でした。
また子どもの読書を取り巻く社会的環境および情報環境の変化に合わせてサービスの改善をしていくためには、既存の施設だけでは不十分であることが明らかになってきました。
そのため、施設の増設を視野においた、国際子ども図書館の図書館奉仕の方向性とそれに対応する施設の在り方が検討され、2015(平成27)年にアーチ棟が完成しました。
その建設に際しては、明治以来の帝国図書館の計画であった中庭を持つ図書館とすることを目指しました。中庭を中心に据えることでレンガ棟とアーチ棟をつなぎ、一体感のある環境を創出し、利用者の憩いの場となるようにしました。
国際子ども図書館の建築と景観

撮影:2006(平成18)年
旧:2階 特別閲覧室
現:2階 児童書ギャラリー(撮影当時は第二資料室)
目録の並んでいた部屋に、書架と机を新設しました。2015(平成27)年のアーチ棟増築後は児童書ギャラリーとして使われています。

撮影:2006(平成18)年
旧:2階 閲覧室(昭和期増築部分)
現:2階 調べものの部屋(撮影当時は第一資料室)
この第一資料室(当時)は大規模な改修が施されていますが、旧来のイメージを壊さず落ち着いた雰囲気を保っています。2015(平成27)年のアーチ棟増築後は調べものの部屋として使われています。

撮影:2006(平成18)年
旧:西側外観
現:3階 ラウンジ
ラウンジは、利用者の方にくつろいでいただく空間です。また、元の中庭側外壁をガラス壁で囲って屋内化したため、白薬掛け化粧レンガを目の前で見ることができるようになりました。
年表
1995(平成7)年11月 国立国会図書館に設置する児童書等の利用に係る施設に関する調査会答申
1996(平成8)年11月 「国際子ども図書館基本計画」策定
1996(平成8)年 鉄筋コンクリート造書庫、老朽化のため解体
1997(平成9)年1月 国際子ども図書館準備室設置
1999(平成11)年4月 国立国会図書館法の一部改正 国際子ども図書館の設置を規定
2000(平成12)年1月 国際子ども図書館設立
2000(平成12)年5月 国際子ども図書館部分開館
2002(平成14)年5月 国際子ども図書館全面開館
2011(平成23)年3月 国際子ども図書館第2次基本計画を策定
2015(平成27)年6月 国際子ども図書館アーチ棟完成
















