2019年リンドグレーン記念文学賞受賞者決定

【2019-041】

2019年4月2日、スウェーデン・アーツ・カウンシル(Swedish Arts Council)は、第17回リンドグレーン記念文学賞(The Astrid Lindgren Memorial Award)の受賞者が、ベルギーの児童文学作家バルト・ムイヤールト(Bart Moeyaert)に決定したと発表した。

授賞理由として、「ムイヤールトが紡ぐ、凝縮された音楽的な言葉は、抑制された感情や語られぬ想いと響きあう。危機に瀕した関係性を映画のように直接的に描きつつ、複雑な語りで新たな道を示す。読者の目を開かせる作品は、児童文学もヤングアダルト文学も世界文学だという自明の理をはっきりと表している」と評価された。

ムイヤールトは1964年、ベルギーに生まれた。大家族の末っ子として生まれたことから、孤独を好んだムイヤールトは、様々なものを認めて受けいれるリンドグレーンの作品に励まされたという。19歳でデビューした後、絵本からヤングアダルト、エッセイ、詩、歌詞、戯曲、テレビの脚本など、50以上の作品を手がけている。人生の様々な面をとらえ、リアリティをもって実存的な問いを詩的に投げかけ、読者に考えさせる作品を発表している。

1998年にドイツ児童文学賞ヤングアダルト部門を受賞した“Blote handen” は、隣人の土地に不法侵入した末にアヒルを殺し、その仕返しに犬を殺された少年が大晦日を迎える物語である。自伝的な “Broere” には、七人兄弟の末っ子の日々が、あたたかなユーモアをまじえて描かれている。ムイヤールトは、2002年と2012年に、国際アンデルセン賞作家賞の最終候補に選ばれた。

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(2019.04.23 update)