ニューヨーク公共図書館で最も多く貸し出された本(米国)

【2020-024】

2020年1月13日、米国のニューヨーク公共図書館(New York Public Library:NYPL)が、設立125周年記念企画の一環として、1895年の設立以来最も多く貸出された本トップ10のリストを発表した。

NYPLは、同館が設立されて以来、あらゆる年代の利用者によって何百万冊もの本が貸出されてきたとして、現在までに最も貸出回数が多い本を調査した。リストの作成にあたって同館は、貸出履歴や流通システムのほか、ベストセラーのリスト、全米図書賞ニューベリー賞のアーカイブ等も使用したという。

1位から10位までは以下のとおり(括弧内は貸出回数)。

  1. The Snowy Day by Ezra Jack Keats(485,583回)(邦訳『ゆきのひ』)
  2. The Cat in the Hat by Dr. Seuss(469,650回)(邦訳『キャットインザハット ぼうしをかぶったへんなねこ』)
  3. 1984 by George Orwell(441,770回)(邦訳『1984年』)
  4. Where The Wild Things Are by Maurice Sendak(436,016回)(邦訳『かいじゅうたちのいるところ』)
  5. To Kill a Mockingbird by Harper Lee(422,912回)(邦訳『アラバマ物語』)
  6. Charlotte’s Web by E.B. White(337,948回)(邦訳『シャーロットのおくりもの』)
  7. Fahrenheit 451 by Ray Bradbury(316,404回)(邦訳『華氏451度』)
  8. How to Win Friends and Influence People by Dale Carnegie(284,524回)(邦訳『人を動かす』)
  9. Harry Potter and the Sorcerer’s Stone by J.K. Rowling(231,022回)(邦訳『ハリーポッターと賢者の石』)
  10. The Very Hungry Caterpillar by Eric Carle(189,550回)(邦訳『はらぺこあおむし』)

リストに掲載されたうち、10タイトルすべてが邦訳されており、6タイトルが絵本・児童書となっている。また、『1984年』『アラバマ物語』『華氏451度』は、中高生向け読書リストによく掲載される作品として紹介されている。

貸出回数が増える要因について、NYPLは、本の長さ、刊行されていた期間、英語以外の言語で読めること、普遍的な魅力、時事性、学校の読書リストに掲載されていること、受賞歴等が重要になってくるとしている。特に、児童書が上位に多い理由について、ページ数が少なく物語が短いため循環が早いことが一因だと説明している。

また、記事では、特別賞(Honorable Mention)として、マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown)の“Goodnight Moon”(邦訳『おやすみなさいおつきさま』)についても言及している。同書は米国で最も売れている子どもの本の一つであるが、初版が出た当時、非常に影響力のあった児童サービス担当司書がこの本を好きではなかったという理由で、出版後25年ものあいだ所蔵されていなかった。そのためリストからは外れているが、他の本と同じように出版年に図書館に入っていれば1位になっていたかもしれないと述べている。

Ref:

(2020.02.25 update)