2022年IBBY-iRead読書プロモーター賞受賞者決定

【2022-044】

2022年3月21日(月)、国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)は、IBBY-iRead読書プロモーター賞(IBBY-iRead Outstanding Reading Promoter Award)の受賞者について、イランの研究者・読書活動推進家のゾーレ・ガエニ(Zohreh Ghaeni)と、米国の作家のジェーン・カーツ(Jane Kurtz)に決定したと発表した。

同賞は、IBBYと中国のiRead基金が2020年に設立した新しい賞で、優れた読書活動推進プロジェクトを立ち上げて実施したり、読書活動推進のための方策を効果的に進めたり、子どもの読書の権利を推奨し広く伝えるなど、読書活動推進に貢献した個人を対象とし、隔年で2名に授与される。授与式は、2022年9月にプトラジャヤ(マレーシア)で開催されるIBBY世界大会で行われる。

受賞者

ゾーレ・ガエニ(Zohreh Ghaeni
イラン(イラン支部とカナダ支部からの推薦)

イランの農村部で教職につき、テヘランの通信制大学で図書館情報学を学んだのち、20年前に民間の非営利団体である児童文学歴史研究所(The Institute for Research on the History of Children’s Literature)を共同で設立した。同研究所の所長として、イランの児童文学の歴史に関する本(全10巻)を共著したほか、「いっしょに読もう」(Read with Me)というプロジェクトを立ち上げた(2016年IBBY朝日国際児童図書普及賞を受賞)。これはイランとアフガニスタンで、働いている子どもやストリートチルドレン、へき地や貧しい地域の子ども、災害や新型コロナウイルス感染症の流行により困難な状況にある子どもに、良質の本を手渡す活動である。

ジェーン・カーツ(Jane Kurtz
米国(米国支部からの推薦)

エチオピアで育ち、25年間、多様な言語の先住民族の作家・画家の育成に携わってきた。また出版インフラの構築、教員や図書館員の養成も行っている。1998年、Ethiopia Readsを共同で設立し、識字率向上のため図書館を開く道筋を示した。画家や子ども、ボランティアの大人とともに2016年に始めたワークショップは、文化を正しく映し、現地の言葉と英語で書かれたシリーズ “Ready Set Go Books” の出版につながった。複数の言語が話され、土地の景色・文化・歴史を描いた本が少なく、翻訳・出版・流通に問題があり、教員・図書館員として働く機会も限られているエチオピアで、リテラシーを根づかせる取り組みを続けている。

Ref:

(2022.05.13 update)