2022年リンドグレーン記念文学賞の受賞者決定

【2022-045】

2022年3月22日(火)、スウェーデン・アーツ・カウンシル(Swedish Arts Council)は、第20回リンドグレーン記念文学賞(The Astrid Lindgren Memorial Award)の受賞者を発表した。

受賞者

エーヴァ・リンドストロム(Eva Lindström
スウェーデン

リンドストロムはスウェーデンの絵本作家。児童書のほか、短編アニメ映画なども制作している。同賞ウェブサイトは、「リンドストロムの物語は鋭いユーモアと不条理な謎を組み合わせ、日常と実存の間を移ろう」と紹介している。同賞審査員のエリーナ・ドゥルッケル(Elina Druker)氏は、リンドストロムの作品について「風変わりな人物がさまよう物語世界は、大変ユニークである。人生における大きな問いと、子どもの日々の出来事、そこで感じたことを、言葉と絵の両方で描き出す」「子どもの経験や理屈を作品の起点としている」「文と絵が常に一致して語りかけるのではなく、そこには様々な解釈と意味があり、子どもの感情や関係性の新たな捉え方を示す。子どもの想像を通して、世界が新たに立ち現れる」「多くの解釈ができる物語は、ゆっくりと考えながら読むのにふさわしい。妥協することなく描かれた絵本は、様々な年代の読者に読まれうる」と述べている。

同賞審査員は授賞理由として、「リンドストロムの不思議な絵の世界は、絶えず変化している。木は外国に引っ越し、犬は巨大化し、物が消えたり、急に現れたりする。勢いのある筆遣い、重い色調による絵と文が交わる様は曖昧で、子ども、大人、動物の境界も定まらない。厳粛に、かつ奔放なユーモアをもって、『わたしたちはだれなのか?』『いったいどこに行くのか?』など、永遠の問いと格闘している」と評価した。

日本からの候補者

2022年は、71か国から282名の候補者名が挙がっており、日本の候補者は以下の2名であった。

  • 松岡享子(翻訳家、児童文学作家、東京子ども図書館名誉理事長)
  • 田島征三(絵本作家)

Ref:

(2022.05.13 update)