2023年プリンツ賞受賞作品決定

【2023-017】

2023年1月30日(月)、米国図書館協会(American Library Association: ALA)の一部門であるヤングアダルト図書館サービス協会(Young Adult Library Services Association: YALSA)は、プリンツ賞(Michael L. Printz Award)の受賞作を発表した。同賞は、前年に出版された優れたヤングアダルト文学に与えられる。

受賞作品

All My Rage
Sabaa Tahir(サバア・タヒア)

パキスタンから米国に移住した Misbah は、小さな砂漠の町でモーテルを始めた。時を経て、息子の Sal は、病気の母親と酒に溺れる父親に代わってモーテルを続け、幼馴染の Noor は叔父の酒屋で働きながら、町を出て大学に進むことをひそかに計画する。そして二人はその過程で、過去と現在の闇と対峙する。

審査委員長からは、「自分の存在を望まれていない世界で苦しむ若者の物語であり、イスラモフォビア(イスラム嫌悪)、アルコール中毒、暴力などの問題を巧みに扱っている」と評された。

著者のタヒアは、カリフォルニア州モハーベ砂漠で家族が経営するモーテルで育った。新聞の編集委員として夜間に働きながら小説を執筆し、”An Ember in the Ashes”(邦訳『仮面の帝国守護者』)でデビューした。”All My Rage” で2022年全米図書賞児童文学部門を受賞した。

なお、次点作品にあたるプリンツ賞オナーブックには、以下の4作品が選ばれた。

  • Lily Anderson “Scout’s Honor”
  • A.L. Graziadei “Icebreaker”
  • Sacha Lamb “When the Angels Left the Old Country”
  • Eliot Schrefer(エリオット・シュレーファー)“Queer Ducks (and Other Animals): The Natural World of Animal Sexuality”
  • Ref:

    (2023.02.28 update)