2023年スコット・オデール賞の受賞作品決定

【2023-023】

米国のスコット・オデール賞選考委員会は、スコット・オデール賞(Scott O’Dell Award for Historical Fiction)の2023年の受賞作品が、Irene Latham(アイリーン・レイサム)と Charles Waters の “African Town” に決定したと発表した。同賞は、米国の作家によって英語で書かれ、前年に出版された、児童・ヤングアダルト向けの歴史小説に贈られる。

受賞作品(一覧)

African Town
Irene Latham and Charles Waters

同賞のウェブサイトでは、「奴隷船での航海を生き残り、アラバマでの生活を新しく始めた人々の声を、鮮やかな詩によって伝えている。人々は残酷な奴隷制や不平等の中で、アフリカに帰りたいという夢を抱きながら、自分の人生を生きたり、人を愛したりする術を再び見出したいと願い、アフリカンタウンにコミュニティを築いていく」と紹介されている。

同賞審査委員長は、「よく調べた上で書かれ、豊かな詩の形で表されている。奴隷制の恐ろしさに光を当てつつ、希望を込めて描かれている」と評価した。

作者の二人は、登場人物一人一人について、それぞれに合った形式の詩で語らせたという。

本作の執筆前、二人はアフリカンタウンを訪れ、最後の奴隷船クロチルダ号で運ばれてきた人々の子孫に会った。米国で奴隷の輸入が禁じられた後の1860年、110人ほどの奴隷を運んできたクロチルダ号は、発覚を恐れたプランテーションのオーナーに燃やされ、2019年に見つかるまで川底に沈んでいたという。

レイサムは詩や小説のほか、絵本の文章を書いている。Karim Shamsi-Basha(カリーム・シャムシ・バシャ)とともに文章を書いた絵本 ”The Cat Man of Aleppo”(邦訳『アレッポのキャットマン』)は、日本でも出版されている。

Waters は詩人であり、絵本や詩集を手がけている。

Ref:

(2023.04.12 update)