2023年版米国図書館界の現状報告書

【2023-040】

2023年4月24日(月)、米国図書館協会(American Library Association: ALA)は、4月23日(日)から29日(土)までの全米図書館週間(National Library Week)にあわせて、2023年版米国図書館界の現状報告書 “State of America's Libraries Report 2023” を刊行した。

報告書によれば、米国の公共図書館・学校図書館が受けた資料の撤去要望の数は、2020年の秋以降、急増している。2022年は1,269件の撤去要望が図書館に寄せられたことが確認された。これは2021年の撤去要望729件の約2倍にあたり、これまでで最も多かった。また、要望が最も多く寄せられたのは学校図書館と学校だった。2022年に撤去要望が寄せられたり、実際に撤去されたりした2,571タイトルの多くはLGBTQ+コミュニティに属する人、黒人・有色人種や先住民族の人によって書かれたり、そうした人々のことを書いたりした作品だった。ALAは2022年4月、様々な団体や個人が協力して、撤去要望に抵抗する運動 Unite Against Book Bans を立ち上げている。

このほか、ホームレスの人々へのスマートフォンの貸出、身分証明書として使えるような写真付き図書館カードの発行、元受刑者への起業支援など、公共図書館の優れた取り組みが報告されている。また、子どもに関わる図書館サービス・学校図書館活動に関しては、幼児を連れた保護者のために、併設のプレイルームで子どもを遊ばせながらパソコンを利用できるワークスペースを設けた公共図書館や、デジタル技術を駆使して自然やサステナビリティ(持続可能性)について伝える学校図書館の取り組みが紹介されている。

報告書の全文は、ALAのウェブサイトから閲覧できる。

Ref:

(2023.06.14 update)