2023年ブランフォード・ボウズ賞の受賞者・作品決定

【2023-068】

2023年7月13日(木)、ブランフォード・ボウズ賞の受賞作品が発表された。この賞は、作家 Henrietta Branford とその編集者 Wendy Boase がいずれも1999年に病で亡くなった後、両者の功績を記念して2000年に創設された。自身にとって初の児童書を英国で発表し、将来を期待される作家とその編集者に与えられる。

受賞作品(一覧)

Ellie Pillai is Brown
Christine Pillainayagam (作家)
Leah Thaxton (編集者)

エリー・ピライは白人が大多数を占める学校で、その褐色の肌ゆえに馴染めずにいる。しかし転校生の男の子への恋心や友人との関係、親に内緒で取り組んだ演劇の授業で出会った先生との出会いを通して、エリーの気持ちは少しずつ変化していく。

審査員からは「物語の構成が巧みであり、また、敏感に揺れ動くリアルな感情の描写を通して、アジア系移民二世が向き合っている状況をしっかりと描いている」と評価された。

Pillainayagam はこの物語の着想は白人社会で移民二世として育った自分自身の経験から得たとしている。そして、息子に人種やアイデンティティーを説明するための資料を求めて訪れた書店で、黒人や褐色人種の喜びに焦点を当てた物語が棚に並んでいない状況を目の当たりにして、ユーモアと喜びに満ちながらも、困難な問題ときちんと向き合う物語を書きたくなったと語っている。また、Pillainayagam はシンガーソングライターでもあり、本作品にも主人公エリーが書いた曲が盛り込まれ、本に掲載されているQRコードから実際にその曲を聴くことができる。

Ref:

(2023.08.28 update)