2024年国際アンデルセン賞受賞者決定

【2024-047】

2024年4月8日(月)、国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People: IBBY)は、2024年国際アンデルセン賞(Hans Christian Andersen Award)受賞者を発表した。「小さなノーベル賞」と称される同賞は、子どもの本において永続的な貢献をした作家・画家の全業績に対して授与される。授与式は、2024年8月から9月にかけてトリエステ(イタリア)で開催されるIBBY世界大会で行われる。

国際アンデルセン賞作家賞

ハインツ・ヤーニッシュ(Heinz Janisch
オーストリア

同賞の発表のプレスリリースでは、以下のように評されている。

ヤーニッシュは「文学にとって小さすぎるものは、なに一つない」と強く述べており、読み手の想像にゆだねるような短編物語の名手である。著作の多くにユーモアがあって、なかには理屈を超えたものもあるが、そこには哲学的な要素があり、それがしばしば作品の深さにつながっている。簡潔な文章に意味がこめられ、「少ないほうがより豊かである」という言葉がまさにふさわしい。普遍性のある作品は、あらゆる場所の子どもと大人をひきつける。多層的でニュアンスに富む作品は、それゆえに普遍的であり、読者を勇気づける。

ヤーニッシュは1960年、ハンガリーとの国境に近いオーストリアのブルゲンラントに生まれ、現在はウィーンに住んでいる。創作のほか、朗読のイベントや、子どもや大人に向けた文学と創作のワークショップなども行い、障がいのある子どもたちの創作ワークショップも手がけている。

国際アンデルセン賞画家賞

シドニー・スミス(Sydney Smith
カナダ

同賞の発表のプレスリリースでは、以下のように評されている。

同賞審査員によれば、スミスの作品は絵で語った物語か、短い音楽の記憶のようなものである。スミスもまた、「自分が物語に取り組むやり方は、聞くこととよく似ている」と語っており、それはほかの作家の文章に絵をつけるときも、自身の物語を描くときも変わらないと述べている。物語を語るテクニックはシンプルなように見えて、修練の賜物である。ひかえめに、しかしリアリティをもって描かれた人物はあたたかく、読者の共感を呼ぶ。どの本でも、自然やにおいやドラマを色によって伝えている。感情を表すために余計なものをそぎ落とし、その点では、「少ないほうがより豊かである」という言葉は、スミスにもあてはまる。真に普遍的なものをもつアーティストである。

スミスは1980年、カナダのノバスコシア州に生まれ、トロントで数年を過ごしたあと故郷にもどった。“Town Is by the Sea”(邦訳『うみべのまちで』 ジョアン・シュウォーツ(Joanne Schwartz)文)と“Small in the City”(邦訳『このまちのどこかに』)でケイト・グリーナウェイ賞、“I Talk Like a River”(邦訳『ぼくは川のように話す』 ジョーダン・スコット(Jordan Scott)文)でボストングローブ・ホーンブック賞絵本部門を受賞した。

作家賞・画家賞にノミネートされた59名のうち、作家賞の最終選考に残ったのは、ハインツ・ヤーニッシュに加え、ブラジルのマリーナ・コラサンティ(Marina Colasanti)、韓国のイグミ(Lee Geum-yi)、ベルギーのバルト・ムイヤールト(Bart Moeyaert)、フィンランドのティモ・パルヴェラ(Timo Parvela)、オランダの Edward van de Vendel の6名。画家賞の最終選考に残ったのは、シドニー・スミスに加え、中国の蔡皋(Cai Gao)、ポーランドのイヴォナ・フミェレフスカ(Iwona Chmielewska)、ブラジルの Nelson Cruz、スペインのエレナ・オドリオソラ(オドリオゾーラと表記する場合もある)(Elena Odriozola)、チリのパロマ・バルディビア(Paloma Valdivia)の6名。

Ref:

(2024.06.06 update)