2025年リンドグレーン記念文学賞の受賞者決定

【2025-038】

2025年4月1日(火)、スウェーデン・アーツ・カウンシル(Swedish Arts Council)は、2025年のリンドグレーン記念文学賞(The Astrid Lindgren Memorial Award)の受賞者を発表した。

受賞者

Marion Brunet
フランス

Brunet は2013年、二人の母親をもち、体外受精で生まれた兄妹の姿を通して、同性愛への嫌悪を描いた “Frangine” (Sister)でデビューした。親の規範に従うのではなく、よりよき世界の理想を追う若者の友情や恋をとらえた “Dans le désordre” (In disarray)、フランスからマダガスカルを訪れた少女たちが、ツーリズムの負の面や植民地主義の暴力に気づきながら、自分自身についての理解を深める “La gueule du loup” (The wolf’s mouth)、新人教員が生徒からいじめを受ける “Des rires de hyènes” (The hyenas’ laugh)、ブルターニュからアイルランドまで航海する冒険小説 “Plein gris” (Solid grey)、気候危機により沈んだ土地が舞台のディストピア小説 “Ilos” など、幅広いジャンルの作品を手がけている。

同賞審査員は、「気候危機や社会的脆弱性などをテーマとする作品には、今という時代が激しく脈打つ。明晰な文章が光り、腐敗した社会に抵抗する若者が描かれている。わたしたちの世界の暗く暴力的な部分もとらえた、時宜にかなった物語は、民間伝承や神話を取り入れることによって普遍的な作品となり、友情、連帯、自然の美しさが見出される」等の受賞理由を挙げている。また、Brunet の作品はしばしば歴史を下敷きにしており、善と悪の対立を描いている点では、ヴィクトル・ユーゴーやアレクサンドル・デュマに通じると述べている。

日本からの候補

2025年は、72の国と地域から265の個人・組織が候補となっており、日本からの候補は以下の通りだった。

  • 武内直子(漫画家)
  • 高橋留美子(漫画家)
  • 田島征三(絵本作家)
  • 東京子ども図書館

Ref:

(2025.06.18 update)