ミュンヘン国際児童図書館が、2025年の『ホワイト・レイブンズ』を発表

【2025-093】

ミュンヘン国際児童図書館（Internationale Jugendbibliothek）は10月9日（木）、2025年の国際推薦児童図書目録『ホワイト・レイブンズ』（The White Ravens）を発表した。63か国49言語による215の掲載作品のうち、日本からは以下の8冊が選ばれた。

日本からの入選作品

クジラがしんだら
江口絵理 文、かわさきしゅんいち 絵、藤原義弘 監修、童心社、2024年、ISBN：978-4-494-01599-3
呼人は旅をする
長谷川まりる 著、偕成社、2024年、ISBN：978-4-03-727480-1
いま、日本は戦争をしている : 太平洋戦争のときの子どもたち
堀川理万子 絵と文、小峰書店、2025年、ISBN：978-4-338-02210-1
うみのまもの = The Sea Monster
まえだじろう 作、徳間書店、2024年、ISBN：978-4-19-865871-7
けものみちのにわ
水凪紅美子 作、げみ 絵、BL出版、2023年、ISBN：978-4-7764-1102-4
よあけのはこ : アラスカのむかしばなし
ボブ・サム 語り、あずみ虫 絵、谷川俊太郎 訳、あすなろ書房、2025年、ISBN：978-4-7515-3250-8
ぼうけんしよう! (てんじつきさわるえほん)
スギヤマカナヨ 作、偕成社、2024年、ISBN：978-4-03-226170-7
おせち (こどものとも絵本)
内田有美 文・絵、満留邦子 料理、三浦康子 監修、福音館書店、2024年、ISBN：978-4-8340-8813-7

ミュンヘン国際児童図書館と『ホワイト・レイブンズ』

ミュンヘン国際児童図書館は、約250言語67万冊以上の資料を所蔵する世界最大の児童図書館である。同館は原則として、出版社からの寄贈による蔵書構築を行っており、その中で特に優れた作品を掲載した『ホワイト・レイブンズ』を毎年刊行している。『ホワイト・レイブンズ』には「白いカラスのように、めったに見られないような優れた作品」の意が込められている。1984年に “Die Weißen Raben” としてドイツ語で創刊され、1986年以降は英語で出版されるようになった。

『ホワイト・レイブンズ』は、同館が所蔵する本の中から、同館の各言語部門担当者が必要に応じて外部の協力を得ながら選考する。文学性、デザイン性、テーマの普遍性、絵の素晴らしさなどのほか、アプローチがユニークであるか、他国の子どもにぜひ紹介したいかなども考慮して評価される。日本の本は毎年8冊（2013年までは15冊）が選ばれる。

毎年10月に開催されるフランクフルトブックフェアでは、同館の言語部門担当者が、『ホワイト・レイブンズ』に選ばれた作品の一部を紹介するイベントを行っている。また毎年春に開催されるボローニャ・ブックフェアでは、全作品が展示される。

『ホワイト・レイブンズ』の表紙絵

『ホワイト・レイブンズ』は2015年以降、前年に選ばれた作品の画家が、表紙絵を手がけるようになった。2025年は、ノルウェーの画家 Øyvind Torseter（オイヴィン・トールシェーテル）が、木の板でつくられた機械仕掛けのカラスの中で、子どもたちが本を読む姿を表紙絵に描いた。トールシェーテルの作品である、『ハーメルンの笛吹き男』を下敷きにしたグラフィックノベル“Dronefangeren” と、幼い子どもの発想から生まれた詩の絵本 ”Til slutt blir alle hester. Dikt for barn” は、2024年の『ホワイト・レイブンズ』に掲載されている。

Ref:

(2025.12.10 update)

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