IFLA「絵本で世界を知ろうプログラム」第3版

【2024-021】

国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions: IFLA)の児童・ヤングアダルト図書館分科会は、「絵本で世界を知ろうプログラム」のカタログ第3版を発表した。2012年の第1版につづき、2015年に第2版が発表されたあと、2021年から第3版の検討が行われていた。第3版には新たにオーストリア、中国、ギリシア、ケニア、メキシコ、ウクライナ等が加わり、暫定版が公開されていた。

第3版の序文で、同分科会会長 Marianne Martens 氏は、「様々な国の本を読むことは国際理解につながり、多様な見方や視点を受け入れられるような、開かれた心を育てる」「今こそ、子どもの本を通した国際理解が求められている」と述べている。カタログには、57か国37言語530冊の絵本が掲載されており、無料でダウンロードできる。「子どもたちが好きな本を挙げ、このカタログに掲載された本と比べる」「絵から物語を想像して書く」「他国について調べる」等、図書館での活用事例も紹介されている。

「絵本で世界を知ろうプログラム」は、各国の図書館員がその国の代表的な絵本を10冊ずつ選び、セットを作って、世界各地で展示会を開催するというものである。絵本を通して国際理解を促進することを目的とし、日本からの提案により始まった。選書にあたっては、「0~18歳を対象とした作品」「その国の言語で書かれた優れた作品」「長く読み継がれてきた作品、あるいはこれから読み継がれていくと考えられる作品」「読み聞かせたり、子どもと一緒に読んだりするのに適した作品」「文と絵が補完しあっている作品(字のない絵本も含む)」「前向きなメッセージを持つ作品」等の基準が設けられている。

本のセットは2組作られ、1組は日本の国際子ども図書館、もう1組はフランス国立図書館にIFLAから寄贈された。国際子ども図書館は、このセットの内、寄贈された資料を貸し出している。貸出の対象は、日本を含むアジア・オセアニア地域の図書館等であり、返却にかかる送料以外は無料である。

第3版における日本の絵本の選定は、同分科会の日本選出常任委員および日本図書館協会児童青少年委員会が中心となった。Googleフォームによって62名から推薦された約270タイトルの中から、同分科会が設定した基準に加え、赤ちゃん絵本、科学絵本、写真絵本、文字なし絵本、平和やSDGsを意識した絵本を視野に入れつつ、日本の多様な絵本の現状を反映できるような選書を目指したという。

日本から選出された作品

もこもこもこ
たにかわしゅんたろう さく、もとながさだまさ え、文研出版、1977年、ISBN:978-4-580-81395-3
さがしています
アーサー・ビナード 作、岡倉禎志 写真、童心社、2012年、ISBN:978-4-494-00750-9
ぐりとぐら
なかがわりえこ 文、おおむらゆりこ 絵、福音館書店、1967年、ISBN:978-4-8340-0082-5
かさじぞう
瀬田貞二 再話、赤羽末吉 画、福音館書店、1966年、ISBN:978-4-8340-0071-9
くだもの
平山和子 作、福音館書店、1981年、ISBN:978-4-8340-0853-1
旅の絵本
安野光雅 作、福音館書店、1977年、ISBN:978-4-8340-0539-4
11ぴきのねこ
馬場のぼる 作、こぐま社、1967年、ISBN:978-4-7721-0004-5
わたしのワンピース
にしまきかやこ 作、こぐま社、1969年、ISBN:978-4-7721-0018-2
さわるめいろ
村山純子 著・デザイン、小学館、2013年、ISBN:978-4-0972-6497-2
とべバッタ
田島征三 作、偕成社、1988年、ISBN:978-4-03-331140-1

Ref:

(2024.03.26 update)

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