子どもの読書活動推進

展示から広がる本の世界-「子どものへや」における展示の工夫

3. 展示までの流れ

3-1 テーマ設定

テーマの選び方には、以下の方法があります。

(1)季節の事柄から、子どもに身近な事例を選ぶ。
 例:春には入学、入園の展示→例:始まるよ。楽しいよ。−園と学校の本(PDF形式:69KB)

(2)子どもに紹介したい本から同じテーマを探して広げていく。
 例:『王への手紙』と『友情をこめて、ハンナより』を紹介したい→てがみ(PDF形式:123KB)

(3)図書館行事関連から
 例:上野動物園の飼育員さんのおはなしをきくイベント関連展示「ゾウのひみつワールドへようこそ」(PDF形式:66KB)

(4)自分が好きなテーマ
 例:こわい話・ふしぎな話(PDF形式:102KB)

◎ポイント

  • 子どもにわかる(子どもに身近な)テーマか。
  • 多くの子どもが受け止められるテーマか。(深刻すぎるテーマではないか)
  • そのテーマの本を十分集められるか。
  • テーマにこだわりすぎて、無理に本を集めていないか。

3-2 選書

(1)選書ツールをもとに、関連する本を展示する冊数より多く集め、候補資料のリストを作ります。

(2)リスト作成後に他の人の意見を募り、自分の知らない本を教えてもらいます。

3-2-1選書方法

〇ストックから選ぶ

日常業務の中(特に選書)で紹介したいと思った本をストックしておき、そこから選びます。

〇ブックリスト・ウェブサイト

よく参照しているものをご紹介します。

  • 『絵本の庭へ』 東京子ども図書館 2012
    東京子ども図書館の選りすぐりの絵本1157冊を紹介。件名索引が大・中・小と分かれ、登場人物ごとの索引もある。展示テーマ設定にも便利。
  • 『キラキラ読書クラブ』 日本図書センター 2006
    116のテーマ別に644冊の本を紹介。読書対象年齢も記載され参考になる。司書等が作成。
  • 『子どもの本のリスト』 東京子ども図書館 2004
    1990年から2001年までの雑誌『こどもとしょかん』の新刊案内。件名索引があり、ノンフィクションも含む。
  • 『絵本の住所録』 舟橋斉 編著 1998
    テーマごとに排列、巻頭にテーマ別索引がある。
  • 日本児童図書出版協会『こどもの本on the Web』
    さがしています。こんな本一覧
  • 国立国会図書館国際子ども図書館 調べ方案内・主題情報>リサーチ・ナビ(本の種類から探す>児童書>特定のテーマ>調べ方案内)
    子どもの本のブックリスト(7)(テーマ別・その他)
  • 国際子ども図書館子どもOPAC(「子どものへや」開架資料を検索できる)
  • NDL-OPAC
    タイトルではなくキーワードで検索すると、件名や内容細目も検索範囲に入るので、資料のヒット件数が増えます。また、テーマから連想される関連キーワードで検索していくと資料のヒット件数が増えます。
    例:「火」がテーマの展示の際の検索キーワード
    火事、熱、炭、マッチ、ろうそく、料理、火山、たいまつ、灯り、炬燵、暖炉

過去の小展示のリスト

過去の関連テーマのリストを参考にします。

3-2-2 現物の選書

集めた本の現物にあたり選書して展示資料を決めます。

◎ポイント

  • 本の内容が意図するテーマに合致しているか。
    特にフィクションは、タイトルと本の内容が異なる場合もあるので必ず本の内容に目を通します。もちろん読了することがベストです。
  • 対象年齢のバランスがとれているか。
    幼児向け、小学校低学年、中学年、高学年以上など幅広く選書します。
  • 同じ作家の本が何冊も出ていないか。
    テーマによっては、同一著者の本が複数冊入ることがありますが、その場合は絵本、読み物などジャンルに配慮します。
  • ジャンルのバランスを見る。
    絵本、読み物、知識、工作、詩、言葉あそびなど幅広い分野から選書します。
  • 地域のバランスはとれているか。
    日本、西欧、アジアなど国や地域が偏らないように注意します。展示テーマによりますが、国際理解のため、あれば洋書も2割ほど入れています。その際は、できるだけ日本語訳と対になるようにします。
  • 表紙は、季節に合っているか。
    テーマに季節感がない場合でも、あまりに季節外れの表紙の資料は選ばないようにしています。

3-3 展示タイトルと紹介文

〇タイトル

子どもにもわかりやすいタイトルにします。展示内容をイメージしやすいタイトルが望ましいです。

〇紹介文

大人が読むことが多いですが、子どもが読むことも配慮し、やさしい言葉で短めに書きます。必要に応じて、ルビをふります。

3-4 ディスプレイ等の工夫

〇看板の作成

子どもの目を引き、テーマに合う暖か味のある看板を作成します。

  

〇本の配置

赤ちゃん絵本は下の方に置き、高学年以上の読み物は上段に置くなど、子どもの視点を考えて並べます。

〇飾り物

 あくまでも本が主役です。飾り物は本を引き立てるものをさりげなく、本の取り出しを妨げないように置きます。開架資料の中から子どもにも作れる折り紙や工作を作って飾ると子どもも楽しめます。


〇リストの作成

タイトル、著者名、出版社、出版年を記載した配布リストを作成します。国際子ども図書館は、貸出しをしていませんが、リストの書誌事項をもとにご自宅近くの図書館で借りることができます。

○ラベル添付

どのコーナーの展示資料かがわかるように、背に色別のラベルを貼っています。

4. 展示の効果

展示には、「1. 展示の目的」でご紹介した子どもと本をつなぐという目的の他に職員にも役に立つ以下のような効果があります。

(1)作成した展示リストは、ジャンル別の本の紹介などカウンターでのレファレンス業 務にも使用できる。

(2)国際子ども図書館ホームページの子どものへや・世界を知るへやの小展示のページにリストを掲載しているので、他の図書館での展示にも参考になる。

(3)展示替えの際に、館内職員向けに説明会を実施している。直接児童サービスに従事する職員以外にも、展示資料やそれにまつわる子どもの反応を知ってもらえる機会となっている。

(4)開架資料をテーマという枠組みの中で読み直すことで、視野が広がり、資料をより深く知ることができる。

おわりに

図書館員は、来館してくれる子どもたちに本を紹介しますが、見知らぬ大人に話しかけられると緊張する子もいます。そんな時、本が展示してあれば子どもが自分で本を選ぶことができます。
入口近くの展示コーナーでは、入ってきた家族連れが大人は「懐かしい」、幼児は「ダンゴムシー!」、「うさこちゃん」と声をあげて一斉に本に手を伸ばす光景が見られます。
ぜひ展示コーナーをつくって、子どもたちが本を手にする機会を増やしてください。

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