みんなで楽しめるおはなし・絵本の紹介

おはなしが載っている本や絵本を、おはなし会での子どもたちの反応など合わせて紹介します。

『子どもに語るグリムの昔話. 2』
グリムの昔話
佐々梨代子,野村泫訳
こぐま社 1991.4
紹介したおはなし:みつけどり

「みつけどり」は、ストーリーテリングで紹介します。幅広い年齢に受け入れられるおはなしですが、4歳から小学1年生までを対象とした会では、小さな子どもたちが真剣な表情でおはなしに聞き入る姿が見受けられます。

森の管理人が、高い木の上でみつけた男の子を家に連れて帰ります。みつけどりと名づけられたその男の子は、管理人の娘、レーネとともに育てられます。管理人の家には悪い料理番のばあさんがいて、管理人の留守にみつけどりを煮立った湯の中へ放り込もうとします。それを知ったレーネはみつけどりと一緒に逃げ出します。

2人の子どもがバラや教会に姿を変え、追っ手をくらます姿に、子どもたちは自分の姿を重ねてスリルを感じるのでしょう。おはなし会が終わった後も、子どもたちがもう一度読んでとおうちの人にせがむ姿をよく見かけます。おはなし会で語るおはなしは、子どもたちがもう一度ききたいというくらい、力のあるものを出していきたいものだと感じます。

子どもに語る昔話のシリーズは、語るために文章が整えられており、耳できいて楽しいおはなしが紹介されていますが、小学校3年生ぐらいから、一人で読むこともできます。

『くまのコールテンくん』
くまのコールテンくん
ドン・フリーマンさく まつおかきょうこやく
偕成社 1975.5

『くまのコールテンくん』は、絵本の読み聞かせで使います。

コールテンくんは大きなデパートのおもちゃ売り場にいる、ぬいぐるみのくまです。リサはコールテンくんを家につれて帰りたいのですが、家にはつれて帰れません。

その夜、コールテンくんはお客さんの帰ったデパートの中へ、とれてしまった洋服のボタンを探しに出かけます。子どもたちはコールテンくんに気持ちを沿わせ、夜のデパートをともに冒険します。コールテンくんが警備員さんに発見される緊張感を、子どもたちも同様に味わいます。

次の朝、リサは自分の貯金を使ってコールテンくんを家に連れて帰りますが、あえて言葉としてかかれていなくても、友達とはどのような存在なのかが伝わります。

当館の4歳から小学校1年生までのおはなし会で、とても楽しめる一冊です。

『どうぶつのあしがたずかん』
どうぶつのあしがたずかん
加藤由子文 ヒサクニヒコ絵
岩崎書店 1989.3

この本は、さらにもう一冊読みたいときに使います。

足の形から動物たちのくらしぶりを探る、ユニークな本です。動物の足型が本当の大きさで載っています。

動物の名前とともに足型が掲載されているページがあり、ページをめくると写真・イラストつきの動物紹介があります。

おはなし会ではこの本にちょっとしたしかけをします。動物の名前を付箋で隠し、子どもたちに何の動物の足型かあててもらうのです。

子どもたちは「ヒント!ヒント!」といいながら、盛り上がります。この本でとりあげられているのは、ゾウ、キリン、サイなど、比較的良く知られた動物なのですが、国際子ども図書館が上野動物園に近いためか、動物園帰りにこの図書館に立ち寄った子どもたちの口からは「スローロリス」などあまり聞きなれない動物の名前がとびだすこともあります。

動物が好きな子も本が好きな子も一緒に楽しめる一冊です。