2025年ニューベリー賞、コルデコット賞受賞作品決定

【2025-022】

2025年1月27日(月)、米国図書館協会(American Library Association: ALA)の一部門である児童図書館サービス協会(Association for Library Service to Children: ALSC)は、2025年のニューベリー賞(Newbery Medal)とコルデコット賞(Caldecott Medal)の受賞作品を発表した。前年に米国で発表された英語の児童書のうち、ニューベリー賞は児童文学、コルデコット賞は絵本を対象とし、米国在住の作家および画家に与えられる。

ニューベリー賞

The First State of Being
Erin Entrada Kelly(エリン・エントラーダ・ケリー)

同作はSFと歴史物語を組み合わせ、当時の音楽や、2000年問題に対する社会の不安などを取り入れつつ、1999年という時代をとらえている。物語の中で、未来からやってきた少年は主人公たちに、人が呼吸するたびに歴史がつくられていくのだと教える。

同賞審査委員長は、「様々なジャンルを組み合わせて、複雑で魅力的な物語を作り、私たち一人一人が大切な存在だということを伝える作者の力に感嘆した」と評した。

作者のケリーは、2018年に “Hello, Universe”(邦訳『ハロー、ここにいるよ』)でニューベリー賞を受賞し、2021年には “We Dream of Space” がニューベリー賞オナーブックに選ばれた。

なお、次点作品にあたるニューベリー賞オナーブックには、以下の4作品が選ばれた。

  • Ruth Behar “Across So Many Seas”
  • Chanel Miller(シャネル・ミラー) “Magnolia Wu Unfolds It All”
  • Lesa Cline-Ransome(リサ・クライン・ランサム)“One Big Open Sky”
  • Kate O’Shaughnessy “The Wrong Way Home”

コルデコット賞

Chooch Helped
Rebecca Lee Kunz(Andrea L. Rogers 文)

周囲の人々を手伝おうとする幼い弟の姿を通して、姉弟の関係性や、間違うことの大切さが描かれている。布のコラージュと水彩絵の具による絵が、米国の先住民チェロキーの文化と言語を称え、どのような家族にも重なる普遍的な物語を語っている。

同賞審査委員長は、「巧みに重ねた線、質感、チェロキーの図像によって、張り合う姉弟の姿をとらえた、新しくも古典的な物語である」と評した。

同作は、Kunz の絵本のデビュー作である。Kunz はチェロキーにルーツがあり、神話的・原型的なシンボリズムにインスピレーションを得て、伝統的な図像を描いている。

なお、次点作品にあたるコルデコット賞オナーブックには、以下の4作品が選ばれた。

  • Cherry Mo “Home in a Lunchbox”
  • C.G. Esperanza “My Daddy Is a Cowboy”(Stephanie Seals 文)
  • Gracey Zhang “Noodles on a Bicycle”(Kyo Maclear(キョウ・マクレア)文)
  • Yuko Shimizu(清水裕子)“Up, Up, Ever Up! Junko Tabei: A Life in the Mountains”(Anita Yasuda 文)

Ref:

(2025.03.26 update)