本文へ移動

第2章 たべる

「たべる」ことは、生きるために必要不可欠です。それだけでなく、家族や友人と食卓を囲むことは、単に空腹を満たす以上の意味を持ちます。誰かと「たべる」ことは、語り合うことでもあり、絆を深めるきっかけとなります。

クリスマス、お正月、春節など年末年始のお祝いをする日には、親戚が集まってごちそうを食べることもあります。食べものを収穫する時期には、仲間や家族と食卓に集まり、大地への感謝をこめたお祝いをします。亡くなった人のために用意する食べものにも、家族の大切な思いがつまっていることでしょう。

この章では、登場人物たちが食卓を囲み、食べものを分かち合う様子が描かれた作品や、様々な文化の特別な日を彩る食べものを描いた作品を紹介します。

『きょうのごはん』加藤休ミ 作 偕成社 2012 Y17-N12-J937

おいしそうな匂いがする家を順々に覗く猫の視点で、各家庭の食卓の風景が描かれる。

『14ひきのあさごはん』いわむらかずお さく 童心社 1983 Y17-9550

森に住むねずみの14匹家族の1日は、みんなで朝ごはんの支度をして、テーブルを囲んで朝ごはんを食べることから始まる。

『おちゃのじかんにきたとら』ジュディス・カー 作, 晴海耕平 訳 童話館出版 1994 Y18-10199

お茶の時間にやってきた空腹のとらをもてなす親子。家には食べものも水もなくなってしまうが、帰宅した父親のアイデアで、レストランへ夕食に出かける。英国の絵本。

『たんじょうび』ハンス・フィッシャー 文・絵, おおつかゆうぞう 訳 福音館書店 1965 Y17-55

今日はリゼッテおばあちゃんのお誕生日。おばあちゃんが出かけている間、一緒に暮らす動物たちは、ケーキを焼いたり花を摘んだり、お誕生日のお祝いの支度に奮闘する。スイスの絵本。

『ぜったいたべないからね』ローレン・チャイルド 作, 木坂涼 訳 フレーベル館 2016 Y18-N16-L366

食べものの好ききらいをめぐる兄妹のやりとりを描く英国の絵本。

『トゥクパをたべよう : インドのごちそうスープ』プラバ・ラム, シーラ・プルイット ぶん, シルパ・ラナデ え, あまがいひろみ やく イマジネイション・プラス 2020 Y18-N20-M241

トゥクパは、インド北部のラダック地方などに伝わる、麺の入ったスープ。目の見えない男の子が、祖母と一緒に栄養たっぷりの野菜入りトゥクパを作って、近所の人々にごちそうする。

『ありがとう、アーモ!』オーゲ・モーラ 文・絵, 三原泉 訳 鈴木出版 2020 Y18-N20-M248

おいしいにおいに誘われてきた訪問者たちに、アーモはシチューを分け与える。シチューの鍋は空っぽになるが、みんながお返しに持ち寄った料理で、最高の夕食ができあがる。米国の絵本。

『ようこそ!ここはみんなのがっこうだよ』アレクザーンドラ・ペンフォールド 作, スーザン・カウフマン 絵, 吉上恭太 訳 鈴木出版 2020 Y18-N20-M95

ある学校に通っている様々な国の子どもたちの1日を追うことで、多様性の素晴しさを伝える。お昼ご飯の場面では、子ども達が持ってきた各国の様々な食べものが描かれる。米国の絵本。

『ぼんちゃんのぼんやすみ』あおきひろえ 作 講談社 2010 Y17-N10-J698

お盆休みにおばあちゃんの家に行ったぼんちゃんは、精霊馬を始め、日本のお盆の風習を教わる。

『こたつ』麻生知子 作 福音館書店 2020 Y17-N21-M297

年越しそばやおせち料理など、日本の年越しの様子を描く。

『犬になった王子 : チベットの民話』君島久子 文, 後藤仁 絵 岩波書店 2013 Y17-N14-L8

チベットの人々の主食・ツァンパの原料となる大麦の歴史を伝える物語。大麦を刈り入れ新しいツァンパを作ると、初めに犬に食べさせる習慣が描かれている。

コラム1:飲みもの

あなたの好きな飲みものは何ですか。ジュース? それともミルク? 大人はコーヒーやお酒という人もいるでしょうか。

私たちが生活の中で飲みものを口にする機会は、食べる機会よりもたくさんあります。のどの渇きをうるおすときはもちろん、疲れてホッと一息つきたいとき、家族や友だちとの団らんのときにも、飲みものは欠かせません。

また、水は命の源です。私たちの身の回りにはたくさんの飲みものがありますが、コップ1杯の水の大切さを忘れてはいけません。

ここでは、様々な形で水や飲みものが描かれている作品を紹介します。

『みずをくむプリンセス』スーザン・ヴァーデ 文, ピーター・H・レイノルズ 絵, さくまゆみこ 訳 さ・え・ら書房 2020 Y18-N20-M154

少女は毎日、飲み水を得るために家から遠く離れた川に水をくみに行く。ブルキナファソ出身の世界的スーパーモデル、ジョージー・バディエルの実体験をもとに、きれいで安全な水の大切さを伝える。

『おひさまのワイン 』小森香折 作, 小林ゆき子 絵 Gakken 2009 Y8-N09-J231

北のとある国の厳しい冬。町の人たちはみんな、クリスマス市のホットワインを楽しみにしている。ところが、店主が魔法をかけられ、寝込んでしまう。代わりに売られた青いワインを飲んだ大人たちはみな悪い魔法にかかってしまう。そこで子どもたちが店主を助けるために団結する。

『モカと幸せのコーヒー』刀根里衣 著 NHK出版 2016 Y17-N16-L416

心も体も疲れ切って眠ってしまった「ぼく」は、ふしぎな世界で白くて小さなうさぎのモカと出会い、コーヒーをすすめられる。

コラム2:ファンタジーの食卓

児童書には、魅力的な食べものが数多く登場します。『ぐりとぐら』の「かすてら」や『ハリー・ポッターと賢者の石』の百味ビーンズなど、「どんな味がするのかな?」と想像をめぐらせてしまう食べものが記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

翻訳作品においては、子どもたちに理解できるよう、外国の食べものが身近な日本語に置き換えられていることがあります。特に、まだ外国の料理が身近でなかった時代にそれが見られました。『ひとまねこざる』のスパゲッティや『不思議の国のアリス』のハートの女王のタルトは、どんな食べものに翻訳されているでしょうか?当時の翻訳者たちの工夫に着目してみてください。

『ぐりとぐら』なかがわりえこ, おおむらゆりこ [著] 福音館書店 1967 Y17-M98-793

本書に登場する卵を使った巨大なお菓子「かすてら」は、フランス語版では、「巨大なガレット」(La galette géante)と翻訳された。

『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング 作, 松岡佑子 訳, ダン・シュレシンジャー 絵 静山社 1999 Y9-M99-228

魔法界で人気のあるお菓子、百味ビーンズが登場する。イギリスの伝統的な料理も描かれる。

『ひとまねこざる』エッチ・エイ・レイ 文・絵, 岩波書店 訳編 岩波書店 1954 児726.7-cR45h

さるのジョージが食堂で「うどん」を見つけた場面。米国で出版された原書では「スパゲッティ」だったが、置き換えて翻訳されている。

『アリス物語』菊池寛, 芥川竜之介 訳, 平沢文吉 絵 興文社 1927 児乙部全集-S-28

物語の終盤、ハートの女王が作ったタルトをめぐる裁判が開かれる。本書では、タルトは「饅頭(まんじゅう)」に置き換えて翻訳されている。

コラム3:食べられてしまう

誰かに食べられてしまう、それはどんな気持ちなのでしょう。怖くてたまらず逃げ出したくなるでしょうか。あきらめなければ、誰かに助けてもらったり、知恵を絞って相手に一矢報いたりすることができるかもしれません。

「注文の多い料理店」のように、自分は食べる側だと信じきっていたのに、気づいたら食べられる側になってしまっていることもあります。物語の中では、誰もが食べる側にも食べられる側にもなる可能性があるのです。

ここでは、登場人物が食べられてしまう話や、あやうく食べられそうになる話を紹介します。

『たべるトンちゃん』初山滋 著 ほるぷ出版 1974(金蘭社1937年刊の複製) KH6-23

トンちゃんは、ゴミもお菓子も、なんでも食べてしまう豚。たくさん食べて太ったトンちゃんは、トンカツ屋に売られて食べられる。

『注文の多い料理店』宮沢賢治 作, 太田大八 絵 講談社 2009 Y8-N09-J1107

西洋料理店「山猫軒」の注文に従って、紳士2人は知らないうちに自分たちが食べられるための準備を進めていく。

『ワニと7わのアヒルのこ』カイオ・ヒッテル 作, ローレン・カルドン 絵, まつもとのりこ 訳 ワールドライブラリー 2015 Y18-N16-L319

ワニに食べられてしまう6羽のアヒル。7羽目のアヒルが知恵を働かせてきょうだいのアヒルたちを救い出す。ブラジルの絵本。

前ページ

次ページ