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第3章 かんがえる

「たべる」ことは、人間が生きていくために絶対に必要なことです。しかし、様々な理由から「たべない」「たべられない」人々が存在します。また、誰が「つくる」か、誰と「たべる」かも、みんな同じとは限りません。

一方で、食べものが私たちの食卓に届くまでには、様々な人や技術が関わっています。このように人間が「つく」ったり「たべ」たりすることで、地球にどのような影響を与えているのでしょうか。

この章では、「つくる」「たべる」ことを、異なる側面から「かんがえ」てみます。

「たべる」とどうなる?

「たべる」ことは私たちにどのような影響を与えるでしょうか? ここでは、「たべる」行為によって生じる、生き物の体の変化について描かれた作品を紹介します。

口に入った食べものは、歯で細かくされ、胃や腸などで分解されます。栄養は吸収され、残りは体の外に排泄されます。時には、食べたものが原因で病気になることもあります。

「たべる」ことで得られる栄養は、活動や成長に欠かせないものです。『はらぺこあおむし』では、あおむしがあらゆるものを食べ、体を大きくしていきます。そして、物語の終わりには輝かしい変身を遂げます。私たちは食べることで生きているのだということが、色鮮やかに表現されています。

体内の微生物から生態系における生命のサイクルまで、児童書に描かれる、食べた後の世界に目を向けてみましょう。

『はらぺこあおむし』(改訂)エリック=カール さく, もりひさし やく 偕成社 1989 Y18-N05-H98

豊かな色彩と楽しい仕掛けで、あおむしの成長と変身をいきいきと描く。米国の絵本。

『いーはとあーは』やぎゅうげんいちろう さく 福音館書店 2003 Y11-N03-H275

乳歯と永久歯の違い、虫歯、歯磨きなど、シンプルな線でコミカルに描く。

『みんなうんち』五味太郎 さく 福音館書店 1981 Y17-7927

いろいろな動物のうんちの形やうんちの仕方が、鮮やかな色彩でリズミカルに表現されている。

『ゲーとピー : たぬきせんせいのびょうきのほん』毛利子来 ぶん, なかのひろたか え 福音館書店 1998 Y11-M99-160

嘔吐と下痢について、親しみやすい「たぬきせんせい」が分かりやすく教えてくれる。

「たべない」「たべられない」

いつでも何でも好きなものを「たべる」ことができたなら、きっととても幸せなことでしょう。

しかし、世界には「これを食べてはいけない」「この時間は食べてはいけない」などの教えを守り、「たべない」ことが生活に根付いている国・地域があります。

一方で、様々な理由で「たべられない」人たちもいます。家やお金がなかったり、戦争で町が壊されてしまったりしたら、満足に食べものを手に入れることができません。また、年をとったり病気になったりすると、段々食べる元気がなくなることもあります。反対に、食べるという行為が、心や体の不調を引き起こすこともあります。

「たべない」「たべられない」の背景には何があるのか、児童書を通して考えてみませんか。

『ぼくがラーメンたべてるとき』長谷川義史 作・絵 教育画劇 2007 Y17-N07-H1081

ぼくがラーメンを食べているときにとなりでは…。自分の日常のとなりをたどっていくと、様々な国の子どもたちが水をくんだりパンを売ったりしている。

『せかいいちうつくしいぼくの村』小林豊 作・絵 ポプラ社 1995 Y18-11078

村で採れたたくさんのすももとさくらんぼを町で売る少年は、戦争に行った兄の帰りを楽しみに待つ。だが、村は戦争で破壊され、次の春が来ることはなかった。アフガニスタンのお話。

『きょうはおかねがないひ』ケイト・ミルナー さく, こでらあつこ やく 合同出版 2020 Y1-N21-M137

自立して生活することが困難な母と子が、未来に対する希望を捨てず、明るく日々を過ごしている。寄付された食糧を必要な人に配るフードバンクが、2人をそっと支える。英国の作品。

『からあげビーチ』キリーロバ・ナージャ さく, 古谷萌と五十嵐淳子 え 文響社 2021 Y2-N21-M144

からあげの材料は鶏肉と小麦粉だけではない。大豆ミートやグルテンフリーなど、様々な考えや体質の人も食べられるからあげが登場する。

『ママはかいぞく』カリーヌ・シュリュグ 文 レミ・サイヤール 絵, やまもとともこ 訳 光文社 2020 Y18-N20-M110

フランス語でカニを表す"cancer"は、がんの腫瘍も意味する。治療に疲れて食事ができないこともあった作者自身の闘病経験が、"cancer"とたたかう海賊になぞらえて、子どもに理解できるように描かれる。フランスの絵本。

家族と食卓

家族がどのように食卓を囲むのかは、暮らす国・地域の食文化や宗教などによって様々です。また、時代の変化や、子どもたちの成長に応じても変わっていくものです。母親の家出をきっかけに家事分担を見直す『おんぶはこりごり』や、食卓を囲む習慣がなくなった家族が、再び集まるためのテーブルを作る『すてきなテーブル』などの作品では、変化する家族が描かれます。

ここでは、様々な家族の食卓が描かれた児童書や、子どもが他の家族と接することで食文化の違いに出会う児童書を紹介します。家族と食卓の様々な姿を知ることで、普段の食卓について改めて考えてみましょう。

『おんぶはこりごり』アンソニー・ブラウン 作, 藤本朝巳 訳 平凡社 2005 Y18-N05-H173

家の仕事を一切しない父親と子どもたち。食事の支度から片付けまで、家の仕事をひとりで全ておこなう母親が家出をしたら…。家事分担のあり方を問いかける英国の絵本。

『ママがおうちにかえってくる!』トメク・ボガツキ 絵, ケイト・バンクス 文, 木坂涼 訳 講談社 2004 Y18-N04-H245

仕事から帰宅する母親と、家で夕食を準備する父親の姿が交互に描かれる。米国の絵本。

『マチルダとふたりのパパ』メル・エリオット さく, 三辺律子 やく 岩崎書店 2019 Y18-N19-M92

同性婚の両親を持つマチルダの家に招待された女の子。異性婚の両親を持つ自分の家とはちがい、「うちのパパみたいにケーキやアイスクリームが好きなパパが二人なら、夕食がお菓子かも」と想像をふくらませるが、実際には自分とほとんど変わらない生活を送っていることを知る。英国の絵本。

『すてきなテーブル』ピーター・レイノルズ 絵と文 , 島津やよい 訳 新評論 2021 Y18-N21-M402

テレビやスマホやゲームに各々夢中で食卓に集まらなくなった家族。ヴァイオレットは家族にある提案をする。米国の絵本。

食べものが届くまで

ふだん食べているものが、どのような道をたどってきたか考えたことはありますか?

食べものが食卓に届くまでに、農作物を収穫する人、魚を獲る人、牛や豚を育てる人、加工する人、運ぶ人など、たくさんの人々が関わっています。

よりおいしく、より多くの人が食べられるように、品種改良したり保存方法を発展させたりして、食べものを扱う技術が進化してきました。

また、砂糖や塩などの調味料は、かつては大変高価なものでしたが、今では私たちの食卓に欠かせない、身近な存在になっています。

食べものがどこからどうやって私たちの元まで来たのか。食べものにまつわる物語に思いを馳せてみませんか。

『ぶた にく』大西暢夫 写真・文 株式会社幻冬舎 2010 Y11-N10-J345

子豚が生まれてから育ち、8か月ほどして豚肉になるまでの命のサイクルを見守る写真絵本。

『干したから…』森枝卓士 写真・文 フレーベル館 2016 Y11-N16-L205

水分を抜いて乾燥させることで、食べものが腐りにくくなり、長持ちする。国内外で昔から行われている保存の方法を写真で紹介する。

『築地市場 = TSUKIJI FISH MARKET : 絵でみる魚市場の一日』モリナガヨウ 作・絵 小峰書店 2015 Y1-N16-L55

臨場感あふれる絵で、市場の様子、魚の解体、働く人々などを細部まで表現する。

『世界を動かした塩の物語』マーク・カーランスキー 文, S.D.シンドラー 絵, 遠藤育枝 訳 BL出版 2008 Y11-N09-J363

生きることに欠かせない塩について、歴史的なエピソードや製造方法を精密な絵と文章で紹介する。米国の作品。

『うんがにおちたうし』フィリス・クラシロフスキー 文, ピーター・スパイアー 絵, 南本史 訳 ポプラ社 1967 Y17-238

退屈な日々に飽き飽きしている乳牛のヘンドリカがふとしたことで運河に落ちてしまい、街にたどりつく大冒険の物語。米国の絵本。

『世界を変えた15のたべもの』テレサ・ベネイテス 文, フラビア・ソリーリャ 絵, 轟志津香 訳, 中野明正 日本語版監修 大月書店 2020 Y1-N20-M84

小麦、こしょう、トマトなど、身近な食べ物がどこから来てどう広まったのか、歴史やデータをカラフルに伝える。スペインの作品。

「どん欲」と地球

地球は様々な生き物が暮らす惑星です。その中の一つの種である人間は、他の生き物を食べて生きてきました。長い歴史の中で、人間の活動は、地球上の他の生き物に大きな影響を与えてきました。中にはすでに絶滅してしまった種もあり、そのことに対する人間の影響は否定できません。

環境のことを考えず、大量消費をよしとする風潮の悪影響が明らかになった今日、地球の生物多様性を守るため、持続可能な成長が呼びかけられています。世界に広がった日本語の「もったいない」の精神を伝える『もったいないばあさん』をはじめ、人間の「どん欲」に対する戒めが世界の国々の児童書に描かれています。

『もったいないばあさん』真珠まりこ 作・絵 講談社 2004 Y17-N04-H1145

もったいないばあさんは、水や電気だけでなく、涙も無駄にはしない。発想の切り替えとユーモアにより、循環型社会の精神を伝える作品。

『いのちをいただく』内田美智子 文, 諸江和美 絵, 佐藤剛史 監修 西日本新聞社 2009 Y1-N09-J366

飼っていた牛のお肉で作ったハンバーグを泣きながら食べる女の子。命の尊さと向き合い、食べることへの感謝を学んだ、「いただきます」。

『たべることはつながること : しょくもつれんさのはなし』パトリシア・ローバー さく, ホリー・ケラー え, ほそやあおい, くらたたかし やく 福音館書店 2009 Y11-N09-J600

あなたが食べているツナサンドにはマグロが入っている。マグロはイワシなどの小さな魚を食べ、イワシはプランクトンを食べる。食物連鎖を視覚化した米国の作品。

『イワシ : むれでいきるさかな』大片忠明 さく 福音館書店 2019 Y11-N19-M347

食物連鎖の下位に位置するイワシの一生を、ブリやクジラといった他の捕食者との関連で描写した作品。イワシの個体も海の中の様子もリアルに表現されている。

『やまからにげてきた・ゴミをぽいぽい』田島征三 [著] 童心社 1993 Y18-7542

環境のことを考えず、大量消費をよしとする風潮の悪影響を、大胆かつ力強いタッチの絵で表現した作品。山地を追われる生き物たちの「たすけて」という叫びが、読者の胸に迫る。本の前後から人間側の物語と生き物側の物語がそれぞれ始まり、両者が真ん中で出会う作りとなっている。

『チェンジ・ザ・ワールド! : 世界を変えた14人の女性たち』スーザン・フッド 文, 13人のすばらしき女性画家 絵, 渋谷弘子 訳 フレーベル館 2019 Y3-N19-M50

1970年代、人類の飢餓問題の解決のために立ち上がったアメリカ人女性フランシス・ムア・ラッペ。肉の代わりに、成育に必要な水とエネルギーの量がより少なくて済む植物性タンパク質を食べるようにすることを主張した。英国の作品。

『Es geht um die Wurst : Was du wissen musst, wenn du gern Fleisch isst』Christoph Drösser, Nora Coenenberg Gabriel in der Thienemann-Esslinger Verlag GmbH [2021] Y1-D167

「今、この話をしないでいつする?」。ソーセージの製造過程、肉食による地球への負荷を統計データを用いて視覚化したドイツの作品。

『Water』Subhash Vyam with Gita Wolf. Tara Books Private Limited [2017] Y17-B21066

湖と人間が対等に取引をするインドの寓話を用いて、人間は自然の恵みを利用するばかりではなく、自然に対して敬意を払うべきではないかと問いかける。

『Horror』Written by Madlena Szeliga, illustrated by Emilia Dziubak Gereon [2018] Y17-D1988

野菜や果物が人間に調理されるプロセスを、ミステリー仕立てで描いた作品。それぞれの素材がどんな料理や道具にされるのかが最後に種明かしされる。ポーランドの絵本。

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