2011(平成23)年3月11日に発生し、社会に甚大な被害を及ぼした東日本大震災は、絵本の分野にも大きな変化をもたらしました。被災地の現状や福島第一原子力発電所事故による環境汚染を題材とした絵本だけでなく、不安や喪失感に寄り添う作品、生きる希望を伝える作品、平穏な日常のかけがえのなさに気付かせる作品が数多く描かれ、従来は避けられがちだった「死」を扱った作品も増えました。読者の側も、荒々しい筆致や強烈な色彩など、感情に直接訴えかけるような表現を求める傾向が強まりました。東日本大震災での経験が、これまでの絵本の主題や表現を振り返り、絵本だからこそ伝えられることを問い直すきっかけとなったといえるでしょう。
また平成は、東日本大震災に限らず、数々の震災に見舞われた時代でした。ここでは、東日本大震災のほか、1995(平成7)年1月17日の阪神・淡路大震災、2004(平成16)年10月23日の新潟県中越地震による震災、2016(平成28)年4月14日の熊本地震による震災を扱った絵本も紹介します。
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