国際連合 “SDG Book Club” のブックリスト(目標16)

【2022-079】

国際連合(UN)は “SDG Book Club” として、6歳から12歳の子どもが「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)について学び、行動を促すことを目的としたブックリストを公開している。ブックリストでは、SDGsとして掲げられる「目標1」(Goal 1)から「目標17」(Goal 17)までが順番にとりあげられ、国連の6つの公用語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)の本が、各国語につき数冊ずつ紹介される。

2022年7月には「目標16」(Goal 16)のブックリストが公開された。中国語版のブックリストには、小林豊作・絵の『ぼくの村にサーカスがきた』(ポプラ社、1996年、ISBN:4-591-05206-0)の中国語翻訳版『村里来了马戏团』と、『せかいいちうつくしいぼくの村』(ポプラ社、1995年、ISBN:4-591-04190-5)の中国語翻訳版『世界上最美丽的村子:我的家乡』が選ばれている。

英語版ブックリストに掲載された作品と解説は以下のとおりである。(作者の日本語読みは、判明した場合のみ記載した。)

Goal 16Peace, Justice, and Strong Institutions”(平和と公正をすべての人に:公正、平和かつ包摂的な社会を推進する)

The Day War Came (邦訳『せんそうがやってきた日』)
Nicola Davies (二コラ・デイビス)and Rebecca Cobb (レベッカ・コッブ)

日常に突然入り込み、全てを破壊する戦争。ひとりぼっちになってしまった少女が生き延びるために続けた旅の先で受けた拒絶。戦争によって全てを奪われるとはどういうことかを追体験できる絵本。

The Rainbow Flag: Bright, Bold and Beautiful
Michelle Millar Fisher and Kat Kuang

プライド運動の国際的なシンボルとなったレインボー・フラッグ。そのアイデアの誕生、共同制作風景を実話に基づいて描き、差別に立ち向かい、愛のためにこの旗の下に集まった人々の力強さと創意工夫がよくわかる。

Nelson Mandela: Father of Freedom
Hakim Adi(ハキム・アディ)

南アフリカで人種差別撤廃のために生涯闘いつづけたネルソン・マンデラの人生を描いた本。

The Day Gogo Went to Vote
Elinor Batezat Sisulu and Sharon Wilson

黒人の曾祖母が投票に行くまでを孫の視点で追った絵本。南アフリカの歴史において非常に重要な日が描かれている。

Be the Change: A Grandfather Gandhi Story
Arun Gandhi(アルン・ガンジー), Bethany Hegedus and Evan Turk

使い古した鉛筆を捨てることが、どうして誰かを傷つけることになるのか。祖父ガンジーに助けてもらいながら、少年は、どんなに小さな無駄遣いでも他人に影響を与えることを学んでいく。そして、“Be the change you wish to see in the world.”(あなたがこの世界で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。)という言葉の本当の意味を理解するようになる。

Children in Our World: Global Conflict (邦訳『今、世界はあぶないのか? 争いと戦争』)
Louise Spilsbury (ルイーズ・スピルズベリー)and Hanane Kai(ハナネ・カイ)

Children in Our World”シリーズは、社会を席巻する大きな問題や危機について、子どもたちの適切な理解を促す絵本である。“Global Conflict”は世界的な紛争とその影響をテーマとし、子どもたちは、人々がこれらの問題にどのように立ち向かっているのかを学び、自分たちにできることを見つけていく。

I’m a Global Citizen: A Peaceful World
Alice Harman and David Broadbent

I’m a Global Citizen”シリーズは、「地球市民」という概念のもとに、自分たちが住む世界を理解した上で、自身は世界にどのような変化をもたらし得るのか、考察を促す絵本である。“A Peaceful World”では、平和が重要である理由、平和を維持する方法など、平和と紛争に関する問題を探求している。

Ref:

(2022.09.07 update)