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書誌

題名:はたらく人々 現代の人間と機械を写真で描く
原題:Men At Work
作画者:ルイス・W・ハイン作
版元:The Macmillan Company; New York
刊行年:1932年
ページ数:48ページ
判型:260x208 mm
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はたらく人々
はたらく人々の表紙
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はたらく人々

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はたらく人々
はたらく人々の見返し
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はたらく人々
はたらく人々の扉
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はたらく人々
はたらく人々 1-2ページ
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(♪) 空中ではたらく。ニューヨークの地上400メートルの空中で、摩天楼を建設する。
(♪) はたらく人々〜現代の人間と機械を写真で描く ルイス・W・ハイン
はたらく人々
はたらく人々 3-4ページ
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(♪) 友人フランク・A・マニーへ。武器の鳴る音や軍靴の響きにのみ、英雄の姿を求めてはならない。建設中の橋やビルの上で、貨物列車、船やいかだ、鉱山で、そして消防士や警官にも、勇気は常に求められている。こうした人々は、我々の兵士、我々を支え、命をはぐくむ人々である。―ウィリアム・ジェイムス『戦争に代わる道徳的行為』より
はたらく人々
はたらく人々 5-6ページ
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(♪) 工業の精神。これは、はたらく人々の本である。勇敢で、技にすぐれ、大胆で、想像力豊かな人々である。都市は自らを建てることはできないし、機械も自らを作ることはできない。人間の頭脳と労働がなければ、それらの建造はなし得ないのである。今の時代は、機械の時代と呼ばれる。しかし、使う機械が増えれば増えるだけ、それを作り、動かす人間が必要になってくる。私は、何箇所もの工場ではたらき、何千人もの労働者と交わってきた。ここに紹介するのは、そのうちの何人かである。なかには英雄と呼べる人もおり、すべてが、知る価値のある人々である。君たちを、現代工業の真っ只中に連れていってあげよう。そこでは、機械や摩天楼が建造され、人々の真摯な働きから生まれる自動車や飛行機、発電機に、何百万という人間の生命と幸福がゆだねられている。現代の機械を見るとき、それを作り操作する人々への敬意を忘れないでほしい。1932年5月ヘイスティングス・オン・ハドソンにて。ルイス・W・ハイン
はたらく人々
はたらく人々 7-8ページ
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(♪) 土台を作る。騒々しい気圧ドリルが、ビルの建設現場で、土台石を砕く。粉塵が寿命を縮めることは承知の上。この写真の男は、そのすぐれた技術で表彰された。
はたらく人々
はたらく人々 9-10ページ
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(♪) 起重機を動かす。巨大起重機を操作する男。右の写真は、横材を取り付ける連結係。
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はたらく人々 11-12ページ
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(♪) 技術者が、巻き上げケーブルをコントロールしている。起重機のそばで、操作開始や停止の命令を出すベル係から合図を受け、下にいる技術者に伝える。
(♪) 巻き上げ係は、横材に太いケーブルを取り付け、指定の場所に誘導し、ベル係に手を振って合図する。必要なのは、精密なチームワークだ。全員が気を引き締め、各自の役目を果たす。
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はたらく人々 13-14ページ
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(♪) 連結係は、空中を降りてくる横材を定位置に取り付け、ボルトで締める。ふたりの男が、次の階に上っていく。空に向かって鋼鉄の糸をつむぐクモのようだ。
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はたらく人々 15-16ページ
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(♪) 起重係が、鋼鉄の厚板を動かしている。手前の男は、重さに耐えられるよう起重機のアームを伸ばしている。左の写真は、空中を上がっていく連結係。
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はたらく人々 17-18ページ
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(♪) 検査。ビルがちゃんと建つために、検査は欠かせない。技術者たちが、特殊な器具で、建物が垂直かどうかを確かめる。柱が立つと、すぐさま、錘を下げて、垂直に直す。
はたらく人々
はたらく人々 19-20ページ
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(♪) もう一人は、安全検査を担当する。あらゆる骨組みを調べ、板のゆるみはないか、ワイヤーや工具の不備はないか、調べる。労働者や、下をゆく人々の安全を守るのが彼の仕事だ。右ページの写真の男は、細心の注意を払って、重い鋼鉄の横材を指定場所に導いていく。
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はたらく人々 21-22ページ
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(♪) リベットを打つ。リベット打ちは、気圧ガンで、リベットを打ち込む。リベットを抑える役や、階下から投げ上げられる熱いボルトを掬い(すくい)上げる役もある。空中高い、危険な場所で、数枚の横材の上ではたらく彼らは、技術と力と勇気を要求される。「下よりここのほうが安全さ」とは彼らは言う。
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はたらく人々 23-24ページ
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(♪) バーナーが、アセチレンの火花で、横材を切っていく。左下の写真は、ボルトを真っ赤に熱しているところ。右のページでは、溶接工が、スチールのパイプとシャフトを溶接している。まるで花火のようだ!
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はたらく人々 25-26ページ
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(♪) 右下の写真のボルト係は、18歳で仕事をはじめた。いつかは、ボルト係の長になりたいと思っている。上の写真の男ぐらいの年まではたらきたいなら、健康に気をつけなければならない。若者も老人も、見かけほど危険な仕事ではないと言う。左のページは、足場の上で作業するリベット打ち。
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はたらく人々 27-28ページ
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(♪) 仕上げ作業。起重機を動かす男は、次の階に上がっていく。もうすぐ、最上階の起重機を下ろすことになるだろう。仕事はそれでおしまいだ。右ページの男は、人類の建造物としてはもっとも高い、地上400メートルの位置にあるエンパイア・ステート・ビルの、ワイヤーをつる塔のてっぺんで働いている。
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はたらく人々 29-30ページ
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(♪) 鉄道ではたらく人々。この、現代の怪力の神様は、鉄道に電気を送る発電所で、ハンマーをふるっている。
(♪) 右は、巨大なエンジン工場で、鉄道車両の車輪を作っている技術者。
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はたらく人々 31-32ページ
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(♪) 線路保全係は、線路に沿って何マイルも歩き、不備がないかパトロールする。左下の写真の技術者は、その線路を走ることになる車輪を、溶接している。
(♪) 右のページは、プルマン車をつなぐ鋼鉄板に、細心の注意を払って穴をあける、経験ゆたかな労働者。
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はたらく人々 33-34ページ
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(♪) 「40年も運転してきたが、人っ子ひとり、動物だって、殺したことはない」というのが、この運転士の自慢だ。右ページは、「操車場のカウボーイ」。貨物列車の屋根にのって、アメリカ中を駆け回るブレーキ係。
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はたらく人々 35-36ページ
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(♪) 機械を作る。大きなタービンにはめる鋼鉄盤を、研磨し調整する。
(♪) トラックの車台に、パワードリルで、ボルト穴をあける。
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はたらく人々 37-38ページ
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(♪) タイヤを作る。自動車タイヤをつくる巨大なゴム引き機の制御ホイール
(♪) 熟練工がタイヤの生地を準備するのを、親方が見守る。
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はたらく人々 39-40ページ
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(♪) 飛行機を作る。飛行機のラジアルモーターを組み立てる熟練工。右の写真では、別の熟練工が、飛行機の骨組みを溶接している。わずかなひびも、大惨事につながる。
はたらく人々
はたらく人々 41-42ページ
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(♪) 特殊技能。この男は、マイクロメーターで、巨大な機械の鋼鉄シャフトを測り、大きな旋盤で削っている。何千分の一インチの単位まで正確でなくてはならない。右側の熟練工は、小型機械のギアに角度をつけている。
はたらく人々
はたらく人々 43-44ページ
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(♪) 炭鉱夫。交代時間がくると、鉱夫たちは、からの車に乗って地上に上がってくる。
(♪) 地下深くで、石炭の細い鉱脈を掘り進む二人組の鉱夫。右下の写真は、ランプをつけたベテラン鉱夫。
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はたらく人々 45-46ページ
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(♪) タービンのまんなかで。
(♪) 巨大変圧器を作る。

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はたらく人々
はたらく人々 47-48ページ 作者ハインの写真
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はたらく人々の裏見返し
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はたらく人々の裏表紙
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作家について 1/4

ルイス・W・ハイン(1874–1940)作\

 この写真絵本は、ニューヨークのマンハッタンで、当時エンパイア・ステート・ビルを世界一高い建物にするため、ツェッペリン号などの飛行艇の保留場建設に従事していた人々を、撮影したものです。
 当時、機械や技術は、幸せな未来への保証と考えられていました。しかし一方で、機械文明が多くの失業者を生み出す過酷な現実もありました。この本の中表紙には、「はたらく人々〜現代の人間と機械を写真で描く」という表題が掲げられ、左頁にはハインの代表作とされる“空中少年”という表題の写真があり、ニューヨークの地上400メートルのワイヤー上で高層建築に従事する人の写真が載っています。

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作家について 2/4

 ルイス・ハインが友人フランク・A・マニーへの献辞に使ったのは、「戦いと同様の価値ある行為」(ウィリアム・ジェイムス作)からの抜粋で、建設工事で働く人々、警察や消防の仕事に携わる人々の勇気への賛辞の引用です。そして、冒頭の頁には「工事の精神」という題名で、読者に、機械を賢く使い操作することが出来る真摯な人々の働きに、社会における人間の生命と幸福が如何に委ねられているか、を語っています。

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作家について 3/4

 ルイス・ハインは1874年、ウィスコンシン州オシュコシュに生まれ、1907年にコロンビア大学で社会学の学位を取得しています。常に写真を教材や研究に使い、子どもたちへの写真物語はすでに1908年頃からはじめていました。それがやがて「はたらく人々」に結集されていったのです。

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作家について 4/4

 ルイス・ハインのエリス島の移民の写真は有名ですが、工場や炭坑の児童労働、夜間の新聞配達など後の児童労働法確立に大きく貢献することになります。第一次世界大戦では、東欧の救護施設における赤十字の活動を撮影します。1920年代には、工場労働者の肖像写真を積極的にとります。そして、1930年代にはエンパイア・ステート・ビル建設を写真に記録します。1930年代後半には、フリーのカメラマンになり、1940年に貧困のうちにニューヨーク郊外の自宅で死亡し、その業績が再評価されるのは、数十年先のことでした。

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