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児童文学者コーナー 石井桃子

作家・画家紹介

石井桃子肖像

石井桃子

1907-2008 著作一覧

石井桃子は、編集、翻訳、創作など、さまざまな活動をとおして、子どもの文学の可能性を掘り起こしつづけた児童文学者です。

埼玉県浦和町(当時)生まれ。日本女子大学を卒業後、編集者となり、山本有三を手伝って『日本少国民文庫』(新潮社、1934~36年)の編集をしたり、『ドリトル先生「アフリカ行き」』(ロフティング作、井伏鱒二訳、白林少年館、1941年)などを編集刊行したりしました。石井自身も、『熊のプーさん』(岩波書店、1940年)を翻訳し、これが最初の訳書になりました。その後、数多くの児童文学や絵本を翻訳、紹介することになります。

戦時下に、『ノンちゃん雲に乗る』を書きはじめ、戦後になって刊行しました(大地書房、1947年)。空想的な長編童話で、映画化もされ、広く親しまれました。

戦後は、岩波書店で、『岩波少年文庫』や『岩波の子どもの本』を企画、編集しました。1954年に岩波書店を退社すると、ロックフェラー財団の奨学金を得て渡米、子どもの本の状況と児童図書館のあり方を学びました。帰国後は、自宅を子どもたちに開放して「かつら文庫」を開きますが、文庫での実践は、『子どもの図書館』(岩波書店、1965年)にまとめられています。

1960年には、日本の近代児童文学を批判的に検討する研究会での討議をふまえて、いぬいとみこ、鈴木晋一、瀬田貞二、松居直、渡辺茂男とともに『子どもと文学』(中央公論社、1960年)を刊行します。「子どもの文学はおもしろく、はっきりわかりやすく」という規準を示して、児童文学や児童出版に大きな影響をあたえました。

晩年には、自伝的な長編小説『幻の朱い実』(岩波書店、1994年)を刊行し、『石井桃子集』全7巻(岩波書店、1998~99年)もまとめました。1997年には、芸術院会員にもなっています。

子どもたちに豊かな文学を手渡すことと、その手渡し方とを考えつづけた生涯でした。

児-1-1海のおばけオーリー
マリー・ホール・エッツ 文・絵 石井桃子 訳
岩波書店 1974(昭和49)
(大型絵本 ; 17)
当館請求記号 Y17-4252 (初版 児933-cE85u)
初版は「岩波のこどもの本 3・4年向 ; 5」1954(昭和29)年。「岩波の子どもの本」は石井桃子や光吉夏弥を中心に1953年(昭和28)に創刊されたシリーズ。

児-1-2せいめいのれきし
バージニア・リー・バートン 文・絵 いしいももこ やく
岩波書店 1964(昭和39)
当館請求記号 Y11-94
「岩波の大型絵本1」。バートンはアメリカの代表的絵本作家。地球の誕生から現代まで、生命の歴史を分かりやすく説明している。

児-1-3ちいさいおうち
ばーじにあ・ばーとん 文・絵 岩波書店 訳編
岩波書店 1954(昭和29)
(岩波のこどもの本 幼・1・2年向 ; 6)
当館請求記号 児933-cB974tI
原作は1943(昭和18)年にコールデコット賞を受賞。「岩波の子どもの本」は、当時の日本の子どもに読みやすいよう、外国絵本とは逆向きの「右開きタテ書き」に再編集するなど、多くの工夫がなされた。

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児-1-4ちいさなうさこちゃん
ディック・ブルーナ ぶん・え いしいももこ やく
福音館書店 1992(平成4)
(子どもがはじめてであう絵本 ; 1)
当館請求記号 Y18-7090
オランダ語が原著のシリーズで、1964(昭和39)年に8冊を翻訳刊行。以後も同シリーズのうち8冊を翻訳。

児-1-5クマのプーさん・プー横丁にたった家
A.A.ミルン 作 石井桃子 訳
岩波書店 1993(平成5)
当館請求記号 Y9-800 (初版 児933-cM65k)
石井桃子がはじめて手がけた単行翻訳書『熊のプーさん』(1940(昭和15)年)と、続編の『プー横丁にたった家』(1942(昭和17)年)が併収されたもの。初版は1962(昭和37)年。

児-1-6たのしい川べ : ヒキガエルの冒険
ケネス・グレーアム 作 石井桃子 訳 E.H.シェパード 絵
岩波書店 1963(昭和38)
当館請求記号 児933-cG74tI (初版『ヒキガエルの冒険』 児933-cG74hI)
『ヒキガエルの冒険』 英宝社 1950(昭和25)年刊行の改題。初訳は1940(昭和15)年に白林少年館出版部より中野好夫の訳で『たのしい川邊』として出版された。

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児-1-7小さい牛追い
M.ハムズン 著 石井桃子 訳
岩波書店 1950(昭和25)
(岩波少年文庫 ; 4)
当館請求記号 児949.6-cH23tI
岩波少年文庫創刊5冊のうちの1冊。ノルウェーの農場が舞台。本書は英訳本「A Norwegian Farm」をもとに翻訳された前編で、後編は『牛追いの冬』(児949.6-cH23tl)。

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児-1-8とぶ船
ヒルダ・ルイス 作 石井桃子 訳
岩波書店 1987(昭和62)
当館請求記号 Y8-4502 (初版 児933-cL674tI)
初版は1953(昭和28)年の「岩波少年文庫 ; 70」。魔法の船で時と場所を越えて冒険をする4兄妹のファンタジー。著者はイギリスの小説家。

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児-1-9ムギと王さま
エリナー・ファージョン 作 石井桃子 訳 エドワード・アーディゾーニ 絵
岩波書店 1971(昭和46)
(ファージョン作品集 ; 3)
当館請求記号 Y7-2195-[3] (初版 児933-cF22m)
初版は1959(昭和34)年の「岩波少年文庫 ; 183」で、原作は1955(昭和30)年にカーネギー賞を受賞。表題作をはじめ27編からなる自選短編集で、妖精物語の伝統を生かした詩的ファンタジー。

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児-1-10魔法使いのチョコレート・ケーキ : マーガレット・マーヒーお話集
マーガレット・マーヒー [作] シャーリー・ヒューズ 画 石井桃子 訳
福音館書店 1984(昭和59)
当館請求記号 Y8-1779
作者はニュージーランドの作家で、2006(平成18)年に国際アンデルセン賞を受賞。同題を含む8編の童話と2編の詩を所収。

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児-1-11ノンちゃん雲に乗る
石井桃子 著 中川宗弥 画
福音館書店 1967(昭和42)
当館請求記号 Y8-N01-358
1947(昭和22)年に大地書房から出版後、1951(昭和26)年に光文社から出されてベストセラーに。

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児-1-12ふくろ小路一番地
イーヴ・ガーネット 作・絵 石井桃子 訳
岩波書店 1957(昭和32)
(岩波少年文庫 ; 136)
当館請求記号 児933-cG23h
原作は1937(昭和12)年にカーネギー賞を受賞。下町の子だくさんの家族の日々を愉快に描いたイギリスが舞台の物語。

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児-1-13三月ひなのつき
石井桃子 著 朝倉摂 絵
福音館書店 1963(昭和38)
当館請求記号 児913.8-I583s
母子のひなまつりを描く童話。『The dolls' day for Yoshiko』として翻訳出版された。画像は標題紙。

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児-1-14おそばのくきはなぜあかい : にほんむかしばなし
石井桃子 文 初山滋 え
岩波書店 1954(昭和29)
(岩波の子どもの本)
当館請求記号 Y17-N05-H49 (初版 児913.8-I922o)
初版は「岩波のこどもの本 幼・1・2年向 ; 8」1954(昭和29)年。「おししのくびはなぜあかい」「うみのみずはなぜからい」を併収。

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児-1-15幼ものがたり
石井桃子 著 吉井爽子 画
福音館書店 1981(昭和56)
(福音館日曜日文庫)
当館請求記号 Y7-8644
福音館書店の月刊『子どもの館』に、1977(昭和52)年から約1年連載された幼児期の回想記。

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児-1-16迷子の天使
石井桃子 著 脇田和 画
福音館書店 1986(昭和51)
(福音館創作童話シリーズ)
当館請求記号 Y8-3507 (初版 913.6-I583m)
1958(昭和33)年に朝日新聞で連載された、ユーモラスな家庭小説。

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児-1-17幻の朱い実 上/下
石井桃子 著
岩波書店 1994(平成6)
当館請求記号 KH196-E229
上下巻。約8年かけて執筆した旧友をモデルとした小説。2人の女性の青春と友情を中心に、当時の文壇の人間模様もうかがえる大人向け作品。

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児-1-18子どもと文学
石井桃子等 著
福音館書店 1967(昭和42)
当館請求記号 909-I583k-h (初版 909-I583k)
瀬田貞二, 松居直, いぬいとみこ, 鈴木晋一共著。1960(昭和35)年中央公論社刊が初版。子どもと本の研究会5年間のまとめ。

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児-1-19児童文学論
リリアン・H.スミス 著 石井桃子, 瀬田貞二, 渡辺茂男 訳
岩波書店 1964(昭和39)
当館請求記号 909-cS65z-I
著者はカナダで先駆的な活躍をした児童図書館員。訳者らは、子どものための文学の基準を示す本質的な概論として評価。画像は標題紙。

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児-1-20子どもの図書館
石井桃子 著
岩波書店 1965(昭和40)
(岩波新書)
当館請求記号 016.25-I583k
子どもと本を結びつける方法を知るために自宅に開いた「かつら文庫」の7年間の実践記録。子どもの読書と公共図書館について述べ、「ポストの数ほど図書館を」と訴えた。

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児-1-21石井桃子集 1
石井桃子 著
岩波書店 1998(平成10)
当館請求記号 KH196-G152
「ノンちゃん雲に乗る」「三月ひなのつき」を所収。全7巻の選集で翌年完結。画像は標題紙。